トランプ大統領は対外政策を180度転換した 中国に接近、対ロ関係は悪化

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 4月12日、米国のトランプ大統領(写真左)が就任から3カ月足らずで、対外政策を急転換している。写真は7日、米フロリダ州で中国の習近平国家主席と会談した際に撮影(2017年 ロイター/Carlos Barria)

[ワシントン 12日 ロイター] - 米国のトランプ大統領が就任から3カ月足らずで、対外政策を急転換している。トランプ氏は、就任前から繰り返し中国を批判、同国を為替操作の「グランドチャンピオン」などとこき下ろしていた。

北大西洋条約機構(NATO)についても「時代遅れ」と述べ、ロシアとの関係改善を目指していた。

ところが12日の一連の会見やインタビューでは、対ロ関係の悪化と対中関係の改善に言及。NATOについても、世界の脅威の変化にうまく対応していると持ち上げるなど、態度を一変させた。

ストルテンベルグNATO事務総長との共同会見に臨んだトランプ氏は「私はNATOは時代遅れだと語った。もはや時代遅れではない」と発言。米ロの接近に神経を尖らせていた欧州諸国の懸念が後退する可能性がある。

対中関係については、習近平・中国国家主席との「絆」に言及。中国の台頭を警戒するアジア諸国の間に困惑が広がるとの見方も出ている。

政権内部では、黒幕と呼ばれたバノン首席戦略官が、大統領の娘婿クシュナー上級顧問と対立。バノン氏の影響力低下が指摘されている。

「史上最悪の冷え込み」

トランプ氏は、選挙戦の最中の昨年9月、「(ロシアのプーチン大統領が)私を称えれば、私も(プーチン氏を)称える」と発言。プーチン氏との関係強化に意欲を示していた。

ところが、この日は、シリアのアサド大統領を支持するプーチン氏に懸念を表明。「ロシアとの関係は、もしかしたら史上最悪に冷え込んでいるかもしれない」と述べた。

一方、フロリダの別荘で会談した中国の習主席については、「絆」で結ばれていると発言。会談前は「厳しい」通商交渉を予想していた。

また、ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)紙とのインタビューでは、中国を為替操作国には認定しない意向も表明。選挙期間中は、就任初日に同国を為替操作国に認定すると主張しており、見解を180度転換した格好だ。

オバマ前政権で国防次官を務めたクリスティーン・ワーマス氏は、トランプ氏について、就任直後は「(外交政策の)習得に困難を来たしていた」が、その後「多くの問題について、以前よりも繊細な、深い理解を示し始めている」と分析している。

この日の一連の発言は、選挙期間中の側近の影響力が低下し、マティス国防長官、ティラーソン国務長官、マクマスター大統領補佐官(国家安全保障担当)の影響力が増していることを浮き彫りにしたといえそうだ。3氏はいずれも、ロシアを強く警戒している。

トランプ政権では今年2月、大統領補佐官に起用されたマイケル・フリン氏が、政権発足前にロシア大使と会談していたことが発覚し、辞任を余儀なくされた。バノン首席戦略官も、クシュナー上級顧問と対立しており、トランプ氏が事態の打開を目指す中での、一連の発言となった。

トランプ氏は11日付のニューヨーク・ポストとのインタビューで「スティーブ(・バノン氏)は好きだが、彼が私の陣営に参加したのは(選挙戦の)最終盤だ」と発言。バノン氏を強く支持する発言を避けている。

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