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形だけのガバナンス改革は不要
企業価値向上につながる取締役会改革とは?
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連続性のある実効性評価があってこそ取締役会の真の改革ができる

●取締役会の実効性評価

酒井:コーポレートガバナンス・コードの中でも、とりわけ対応が難しいとされているのが、「取締役会の実効性評価の実施、結果の概要の開示」です。取締役会の実効性評価を実施している企業こそ増えてきましたが、まだ手探りの状況が続いているようです。

前述のアンケート意識調査によると、「取締役会の実効性評価の実施によりどのような効果がありましたか」に対し、「対処すべき課題が明らかになった」が37%あった一方で、「特に効果を実感できない」も29%に上りました。また、「評価を未実施」が26%であり、これからの課題と考えられます。

取締役会実効性評価を実施してみたものの、その評価結果をどう判断し、活用すべきでしょうか。

澤口:現在は、まず議論をしてみましょうという段階です。取締役会の実効性は、今までほとんど議論されたことがありませんでした。評価するための規範そのものがよくわからない。今は、議論を深めるステージです。評価と言っても正解は一つではないが、社内の限られたメンバーで議論していても壁にぶち当たってしまいます。評価の回数を重ねていく中で、第三者の視点を入れることも考えるべきでしょう。

泉谷:取締役会の実効性とは何かと言うと、それは極めてシンプルで、取締役会が企業の持続的成長と企業価値向上に、主体的、あるいは機能的に役割を果たしたかどうかです。たとえば、数値として「前年より改善したのでわが社は進歩しています」と、それじゃダメです。この一年間で何が解決できて何が解決できていないのか。経営環境が変わって新しい課題として何が出てきたのか。この一連の流れを把握して初めて連続性の意味が出てきます。調査の結果、それが改善につながっていくプロセスの継続化が、まさに取締役会改革そのものです。

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