「トランプ砲」発射なら、円高へと突き進む 日米首脳会談に気をもむ外為市場
一方で、円高への不安感も市場には根強くある。
7日発表の12月米貿易収支は、3カ月ぶりの赤字額縮小だったが、国別の貿易赤字額で日本がドイツを抜いて2位に浮上。1位の中国とともにトランプ大統領の批判の矢面に立つのではないか、との警戒感が市場でくすぶる。
トランプ大統領は、日本の自動車メーカーへの圧力を強めており、「数値目標など日本の受け入れ難い要求を突き付け、交渉が難航する間にも、ドル高/円安への口先介入を進めるという1990年代の自動車摩擦の際と同様の展開となる可能性も排除できない」と、JPモルガン・チェース銀行の為替調査部部長、棚瀬順哉氏は指摘する。
なかでも日銀の金融緩和政策が批判されれば「日銀は手足を縛られかねないとの思惑で円高になりそうだ」(別の国内金融機関)との見方は多い。イールド・カーブ・コントロールは世界の中銀でも前例を見ない取り組みであり、「やり過ぎと言われたら苦しい」(同)との声もある。
トランプ大統領から日本の政策に対する厳しい批判が出れば「ドルは110円割れもありえる」(りそな銀行の総合資金部クライアントマネージャー、武富龍太氏)という予想も出ている。
無難通過でも残る「不透明感」
また今回の会談が無風だったとしても、不透明感は払しょくされそうにない。トランプ大統領が不規則発言を繰り返してきただけに「常識的な外交を期待すると、はしごを外されかねない」(別の邦銀)との警戒感は根強いためだ。
さらに、みずほ証券・チーフ為替ストラテジスト、山本雅文氏は「日本があまり対米追従的な姿勢を取ると弱腰と捉えられ、安倍政権の支持率低下と円高圧力につながるリスクもある」と指摘している。
ニッセイ基礎研究所・シニアエコノミスト、上野剛志氏は、この先もトランプ大統領による口先介入などが予想され、「手放しで118円を目指すような展開は想定しにくい」と話している。
(平田紀之 編集:田巻一彦)
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