日経が「動画事業」に本腰を入れるワケ 動画ベンチャーのViibarに出資

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おそらく日本経済新聞社では、「NIKKEI STYLE」や「Nブランドスタジオ」を先鞭に、こうした動きを同社グループのなかで根付かせていきたいのだろう。事実、「テレビ東京グループもViibarに依頼すると思う」と、平田氏は付け加えた。

今回の取り組みは、日本経済新聞社の呼びかけによってはじまったという。あくまで、パートナーとしての資本業務提携であって、経営に口出しするようなものではないと、平田氏は念を押す。それに対して、Viibarの代表取締役を務める上坂優太氏は、「我々の会社を知っていたことに、まずビックリした。それに、これだけの大企業が、すでにデジタル動画に対する課題を感じていて、スピーディに動いていることに感銘を受けた」と語る。

2013年に創業したViibarは、自社開発の動画制作支援ツールと3000人を超えるプロクリエイターネットワークを有するベンチャー企業。Facebookページのいいね!数26万人を誇る分散型メディア「bouncy(バウンシー)」などの自社メディアも運営している。

「弊社に登録いただいているクリエイターは、全員審査を通過したプロのクリエイター。勝手に登録できるシステムではなく、対価についても適切な設定がされている。あくまでプロのための環境であり、一般的なクラウドソーシングのシステムとは異なっている」と、上坂氏は強調する。「これによってクオリティとスケールを両立している。この点が日経さんにも評価いただけた点だと自負している」。

両社で協働して制作するのは、ブランデッドビデオやスポンサードビデオだけではない。編集コンテンツもその範疇には含まれており、そこへ動画広告を挿入して、さらなるマネタイズを図っていくという。

現在、11のチャンネルが用意されている、「NIKKEI STYLE」。この春、そこにファッションをテーマにした、12番目のチャンネルの新設を検討していると平田氏は語る。特にそこでは、Viibarと制作した動画コンテンツをメインに展開していく。

また、現在、日本経済新聞社では、ほとんど動画広告を利用していない。その状況から、今回の取り組みを通して、早い段階で広告売上全体の1割を動画関連のものにしたいという。

取り組みの先にある未来

日経グループは現在、『テクノロジーメディア』を目指している。AIを使った記事の自動生成や自動翻訳、膨大な過去記事を利用したテキストマイニングやデータマイニング(それにAIを利用し、未来予測するというもの)など、新規ビジネスも考えているという。

「そのなかで、動画は新しい技術ではない」と、平田氏。「しかし、スマートフォンをはじめ、その活用法がどんどん進化している。そのためにViibarと協力して、うまく対応していく必要がある」。

それに対して、Viibarの上坂氏は、「我々は動画を効率的に制作する技術は有しているが、それだけで、課題解決できない領域もある。日本経済新聞社のようにデータやオーディエンス資産がないからだ。今回の取り組みでは、そこに強い補完関係が構築される」と語る。

レガシーメディアによるデジタル動画の取り組みは、まだはじまったばかりだ。むしろ、まだはじまっていない企業も多い。そのなかで、日本経済新聞社による、このスピーディな動きは大きな意味をもつといえるだろう。

(Written by 長田真)

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