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安倍政権を賑わす「物価水準の財政理論」とは 他の理論との整合性欠き、誤用のリスクも

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  • 土居 丈朗 慶應義塾大学 経済学部教授

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1月4日、伊勢神宮参拝後の記者会見で、「経済最優先」「デフレ脱却」を強調した安倍首相(写真:共同)

日本はデフレ脱却の道筋が見通せないまま、2017年が開けた。2016年末以来、財政金融政策に関して、金利がほぼゼロの状態で量的緩和政策をいくら講じてもデフレは止められず、むしろ財政を拡大する方がデフレ脱却につながるのではないか、との見方が安倍政権周辺から出ている。

そのアイディアは、2016年8月にアメリカ・ワイオミング州のジャクソンホール会議での、プリンストン大学のクリストファー・シムズ教授の講演に端を発しているという。

ジャクソンホール会議とは、カンザスシティ連邦準備銀行が主催する経済政策シンポジウムの通称で、連邦準備制度理事会(FRB)議長や欧州中央銀行(ECB)総裁や日本銀行総裁らも出席し、金融関係者の間では注目されている。

再び脚光を浴びる「物価水準の財政理論」

ノーベル経済学賞受賞者でもあるシムズ教授は講演で、金融政策がインフレを生みだすのに効果がないのなら、国債発行で財源を賄う財政拡大がそれに代わり得ると論じたことが、注目された(主張はそれだけではないのだが)。

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国債を中央銀行が直ちに買い取って市中に出回る通貨の供給量を増やせば、インフレ圧力になる。これは、経済学の教科書に既に書いてあることだ。しかし、シムズ教授の論拠は、そうではない。

「物価水準の財政理論(Fiscal Theory of Price Level:FTPL)」に基づくものである。1990年代に経済学界で議論が始まり、2010年代に入って再び脚光を浴びている。筆者も2000年に「我が国における国債管理政策と物価水準の財政理論」(本文図表)と題した論文を記した(「物価水準の財政理論」と邦文で題したのは本論文が最初だろう)。

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【金融政策では物価は決まらない?!】

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