試行錯誤がビジネスの視野を変える K.I.T.虎ノ門大学院 ビジネスアーキテクト専攻
小さい市場は本当にダメなのか
三谷教授は院生が見落としているポイントに指摘を入れた。
「市場が小さいからダメ、ということになるのかな? 市場(セグメント)が小さくとも人気があるというのは、全体の数パーセントだけど強い好みを持った人たちが確実に存在するということ。今の自社のシェアがそれほど高いわけではないのだから、小さな市場でも成功できたらOKでしょ。また、そのタイプの商品が好まれる「理由」が必ずあるはず。その「理由」と自社商品の「強み」を組み合わせて考えたら、新しい何かが生まれるのでは」。自分の視野では見落としそうになったこのポイントにこそ、実は商品開発のヒントが隠されていたのだ。
ゼミ生からも、日頃Aさんが思いも付かなかった視点で質問が飛ぶ。「女性と男性の手帳の使い方の違い、女性の社会進出で消費動向にどのような変化が見られたのか」「デジタルと紙の市場動向の推移について調べてみては」などの指摘がなされ、意見交換も徐々に熱を帯びる。異業種や消費者の視点に多くの気づきを得て、Aさんも納得の表情だ。最後に三谷教授からまとめと次への課題が出されてAさんの発表・討議時間が終わる。
Aさんが仕事で抱える課題に対し、経営戦略のプロの思考フレーム、異業種からの視点が融合し、新たな視点と課題が見つかったAさん。まさにビジネスの視野が変わった瞬間だった。