試行錯誤がビジネスの視野を変える K.I.T.虎ノ門大学院 ビジネスアーキテクト専攻
視野が変わる瞬間
院生はプレゼンテーションを通じて、場を取り仕切る力、全体を俯瞰する力が自然と身につく構成となっている。
この日の発表者は4名。日頃、実際の仕事の現場で課題となっていることなどを市場分析などを踏まえて発表する。そこに三谷教授の鋭い指摘、そして他のゼミ生からも日頃と違う視点からの質問が入る。これがビジネスの視野を変える瞬間となる。
ここでは、ビジネス手帳メーカーに勤めるAさんの発表でみてみよう。
Aさんは現在、手帳市場全体に関する基礎的な調査研究を進めている。この日まで、自社や競合会社の分析結果や顧客の消費動向を発表してきた。ここまでのゼミで、三谷教授から「市場をさらに深く考える」というヒントをもらったという。
今回取材した日には、手帳の売れ筋商品・顧客の嗜好の調査結果が発表された。デザイン性やサイズが重視される手帳市場において、ユーザーに現在どのようなタイプが人気なのかを分析。様々な手帳タイプの調査結果が説明されるなか、話題は「1日1ページタイプの手帳」(例:ほぼ日手帳)に。人気があるのに市場規模が小さいこのタイプの手帳をなぜAさんたちは商品化しないのか。
Aさんは勤務先で商品化していない現状を、生産コストが高い割に、市場規模が小さい=多くの消費者に好まれていないからと理由付けして次の説明へと移ろうとした。
そこに待ったをかけたのが、三谷教授である。