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天皇陛下「おことば」が国民に投じた重い宿題 あえてメディアを使った理由とは?

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  • 関田 真也 東洋経済オンライン編集部

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8月8日午後に行われた「おことば」の放送に、街の人々も耳を傾けた(写真:Abaca/アフロ)

8月8日の15時から放送された、「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」の内容は、純粋な「お気持ち」にとどまらず、生前退位を制度化しない場合の様々な問題点にまで踏み込んだものだった。天皇は「現行の皇室制度に具体的に触れることは控えながら」と述べつつも、「象徴」としての天皇のあり方に関する自身の見解に具体的に言及した。

また、天皇の高齢化に伴う対処方法についても、「国事行為や、その象徴としての行為を限りなく縮小していくことには、無理があろうと思います」と述べ、さらに、皇室典範が定める摂政の制度についても、「天皇が十分にその立場に求められる務めを果たせぬまま、生涯の終わりに至るまで天皇であり続けることに変わりはありません」として、自身の価値判断を明確に示した。

「おことば」の中身に肯定的な国民は多いが・・・

元号によって、生涯にわたって日本国の「時」を象徴する存在であった天皇は、直接の表現は避けたが、先々はその立場を幕引きする意思を示したといってよい。82歳という高齢であるにもかかわらず、あらゆる公務を欠かさず、多くの国民の共感と尊敬が集まる天皇の「おことば」に、否定的な意見はほとんど出ていない。しかし、関西大学法科大学院で憲法の裁判実務を担当する伊藤建弁護士は、「今回の『おことば』に問題がないとはいえない」と指摘する。

「日本国憲法では、天皇を『象徴』として定め(1条)、『憲法の定める国事に関する行為のみ』を行い、『国政に関する権能』を有しないと定めている(4条)。『おことば』からは生前退位の意向が強くにじんでいたが、皇室典範には生前退位の規定がないため、皇室典範の改正を求めるものであるとも受け止められる。そうすると、憲法が禁止する『国政に関する権能の行使』なのではないか、という疑問が出てくる」(伊藤弁護士)

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【「国政に関する権能」がない理由は?】

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