ヤマダ電機、エス・バイ・エルへの苛立ち 傘下の住宅メーカーへ経営関与を強めるワケ

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この事態に、ヤマダも黙っていられなくなったようだ。

エス・バイ・エルは1月、社名を「ヤマダ・エスバイエルホーム」に変更すると発表。さらに2月上旬には、積水ハウスグループを経て09年からエス・バイ・エル社長を務めてきた荒川俊治氏が退任し、後任に就くヤマダ取締役兼執行役員副社長の松田佳紀氏をはじめ、ヤマダ電機から非常勤も入れて計6人の役員・監査役を受け入れる人事など、経営陣の大幅刷新も打ち出した。いずれも5月28日に開催する予定の株主総会を経て実現する。

ヤマダはこの社名変更により、知名度の高いヤマダブランドを前面に打ち出すとともに、エス・バイ・エルの経営にも積極的に関与してスマートハウス事業における相乗効果の発現や、事業拡大を急ぐ姿勢を明確に打ち出したワケだ。

次なる収益柱が必要

「住宅や電気自動車、太陽光、蓄電池、家電までをトータルで提供するのは、究極の家電ビジネス」というのが、山田会長の方針である。ヤマダに限らず、国内の家電量販店業界は、エコポイント特需の剥落やパソコンの不振など逆風が吹く。ガリバーのヤマダは縮む市場での熾烈な競争にも勝ち残るだろうが、次なる一手も必要となる。

エス・バイ・エルへの経営関与を強めるのは、新しい収益柱への育成をもくろむスマートハウスを早く軌道に乗せるためだ。ヤマダは過去にもダイクマやマツヤデンキ、サトームセンなど、買収した企業へ積極的に経営関与して、あとかたもなくその中身を変えてきた。今回のエス・バイ・エルについても規定路線である。

ただし、買収した企業の人材であっても、能力に応じて平等に扱うのもヤマダ流。ヤマダ・エスバイエルホームの社長に就く松田氏は、マツヤデンキ出身だ。ヤマダの積極的な経営関与で、現エス・バイ・エルの企業風土は大きく変わる可能性がある。エス・バイ・エルで働く人材にとっては、サバイバルの幕開けである。

武政 秀明
たけまさ ひであき / Hideaki Takemasa

1998年関西大学総合情報学部卒。国産大手自動車系ディーラーのセールスマン、新聞記者を経て、2005年東洋経済新報社に入社。2010年4月から東洋経済オンライン編集部。東洋経済オンライン副編集長を経て、2018年12月から東洋経済オンライン編集長。2020年5月、過去最高となる月間3億0457万PVを記録。2020年10月から2023年3月まで東洋経済オンライン編集部長。趣味はランニング。フルマラソンのベストタイムは2時間49分11秒(2012年勝田全国マラソン)。

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水落 隆博 東洋経済 記者

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みずおち たかひろ / Takahiro Mizuochi

地銀、ノンバンク、リース業界などを担当

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