「セクハラ住職」はなぜ野放し状態にあるのか "性善説"で作られている内部規定がネックに
「つまり、自分でお辞めになるか、お亡くなりになるかしない限り、辞められないということです。すべて性善説で作られているといいますか……。それだけの高僧であれば、『そういうこと』はないだろうと」(担当者)
しかし今、その「性善説」が揺らいでいる。内部の規定では辞めさせられないため、傘下の僧侶や信徒らは7月13日、天台宗務庁に小松貫主の罷免を求める申告書を提出した。宗務庁には懲戒処分の権限があるからだ。
今後は宗務庁が内容を調査することになる。天台宗が規定した懲戒事由に該当する可能性が高いとなれば、宗務庁自らが処分を言い渡すか、僧侶で組織する審理局(天台宗の裁判所)で判断することになる。処分には拘束力があり、貫主職を辞めさせることもできる。
裁判で辞任を要求するとしても…
仮に解任となれば、大勧進では貫主が代表役員を兼任するため、代表役員も退くことになる。ただ、宗務庁の担当者は「通例ない、特殊なケース」と困惑した様子だった。
宗教上はこのような決まりになっているが、裁判で辞任を要求したらどうなるのか。宗教問題にくわしく、曹洞宗の僧侶でもある円城得寿弁護士によると、貫主職の解任は難しいという。信教の自由を守るため、法に反しない限り、宗教団体の内部規定が尊重されるからだ。
円城弁護士は、仮に裁判に発展したとしても「今回の場合だと、宗制(宗派が定めた決まり)に明確な規定がなければ、『国家不介入』のような形になって、解任が認められないのでは」と話していた。
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