全独身者に勧めたい!「婚前契約書」の活用幅 貯金額から家事分担まで「守らなければ離婚」

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「契約書」というと、堅苦しい印象を持つ方もいるかもしれません。しかし、ルールを文書にまとめておくことで、結婚後のトラブルを防ぐことができます。例えば、「結婚したらボーナスの半分は貯金しようね」と双方で合意したとしても、口約束の場合、後になって「そんな約束したっけ?」と忘れられたり、はぐらかされたりして、夫婦喧嘩のもとになるかもしれません。

でも、婚前契約書があれば、結婚する時に確かに約束したと確認できますよね。婚前契約書は、円満な結婚生活を送るための手助けとなるツールなのです。

では、婚前契約書にはどのようなことを書けばいいのでしょうか。 内容としては、基本的に何を書いても問題ありません。ただし、「夫に暴力をふるわれても、妻は一切文句を言いません」など、公序良俗に反する内容は書けません。一般的には、夫婦間でトラブルになりそうな「お金」に関することを書くケースが多いですね。

例えば、「夫と妻は毎月の収入の○%を家計に入れます」「マイホームを購入するために、今後五年の間に夫婦で協力して、あと三〇〇万円を貯めます」など、家計の管理方法や夫婦それぞれの負担金額、目標の貯金額などを書くケースが多いようです。その他、家事の分担や、子どもをもうけるかどうか、子育てや教育方針といったことを書いてもいいでしょう。

結婚前に婚前契約書を作る理由

なぜ結婚前に婚前契約書を作るかというと、民法七五四条で、「夫婦間で交わした契約は、婚姻中いつでも夫婦の一方から取り消すことができる」とされているからです。夫婦になってから交わした約束は、いつでも取り消されてしまう可能性があり、それを避けるために、夫婦になる前に約束を交わしておこうという狙いがあります。  

ただし、婚姻届の提出前に、事実婚・内縁関係が先行している場合には、内縁関係中の契約には民法七五四条を準用するという考え方が学説上は多数説と言われていますので(この問題について最高裁判例はまだありません)、取り消される可能性があります。もっとも、夫婦関係が実質的に破綻した後に、この取消権を行使することは認められません。  

また、婚前契約書に反することをした場合、協議や調停の段階で契約書違反を理由に離婚を主張することはできますが、裁判で離婚について争った場合に、違反だけで離婚ができるかというと、難しいでしょう。

田中 真由美(たなか まゆみ)弁護士

あおば法律事務所共同代表弁護士。熊本県弁護士会所属。親しみやすい町医者のような弁護士でありたいと考えています。熊本県弁護士会両性の平等に関する委員会所属。得意分野は離婚、家事全般、債務、刑事事件、少年事件。
事務所名:あおば法律事務所

 

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