元暴力団員の「社会復帰」は、こんなに難しい 福岡県では"足を洗う"組員が急増

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つぎに、支援情報が知られていないことがあります。暴対法にも、暴力追放運動推進センター(暴追センター)の事務として、『離脱者支援』が明記されています。十分とは言いがたいですが、これまでも支援制度はありました。

しかし、多くの(元)組員はそうした支援制度が存在していることを知りません。たとえ、組から脱退して社会復帰をしようという気持ちがあっても、その方法がわからないということが多いのです。

また、地元で社会復帰することが難しいという問題も挙げられます。組からの脱退そのものについては、警察などが必要な協力をおこないますので、そのように脱退した人に報復がされるケースはあまりないように思います。

問題を起こさずに働き続けるケースは、案外多い

しかし、離脱後、地元で社会復帰(就職)をすることになれば、暴力団時代の人間関係が切れなかったり、経歴が知られているために働きづらかったりします。ほかの地域で就職するのがベストということになりますが、一般人でも地縁のないところでの求職は難しいですから、非常に厳しい状況になります。

ほかにも、就職できたとしても、すぐにやめてしまうなど、社会復帰が頓挫するケースがありますし、偽装離脱の問題もあります。

対策としては、受入先企業の拡大が急務です。たしかに、そう容易ではありませんが、元暴力団員が離脱後、問題を起こすことなく働き続けるというケースは、案外多いです。また実際に、長年にわたって、元暴力団員を積極的に受け入れている企業はあります。

そういった成功例の存在を広く知ってもらったうえで、今回の福岡県のように、受入先企業に対する支援制度を拡充すれば、受入先はさらに増えるはずです。

また、全国的な連携も必要です。すでに関係機関によって努力されてはいますが、全国暴追センターや各地の暴追センター間の連携を強化して、離脱者が別の地域で容易に就職できるよう体制を整えるべきでしょう。

暴力団員は、もともと社会から疎外している存在ですから、定着を確実にするには、離脱後のサポートも必要です。

村田 純一(むらた・じゅんいち)弁護士
関東弁護士連合会民事介入暴力対策委員会委員・千葉県弁護士会民事介入暴力被害者救済センター委員。一般民事事件、家事事件、刑事事件等を取扱う。
事務所名:誠法律事務所

 

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