カツラの使用、会社に伝えるべきですか 周りからの陰口が気になります

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仮に、採用面接時にカツラの着用を申告してそれが理由で落とされるようであれば、最初からその程度のレベルの会社を、相手にしないほうがいいわけです。カツラを着用していることが、Mさんご本人の能力や職業上のスキルに大きな影響を与えているわけではないでしょうし、採用や人事評価上の判断材料にはならないはずです。

職場での「よい人」は仕事ができる人!

職場での「よい人」というのは、仕事ができる人です。外見がよい美男美女がよい人ではありません。つまり仕事においては外見や性格がどんなによかろうと、仕事ができないような人は困るわけです。

気にするべき点は、仕事のスキルです。Mさんは「すばらしいキャリアがあって入ったわけでない」と書いていますが、正社員として採用されたということは能力がないというわけでもないでしょう。自分自身を過度に低く見る必要はありません。

仕事のできる人というと、どうしても派手な実績を出す人に注目が集まりがちですが、ミスなく作業を進めるとか、任せると安心感がある、などの「マイナス点のなさ」で勝負してもいいのです。むしろ世の中の多くの会社で重宝されている人は、そのタイプです。

着実に地道に成長して、着々とその組織におけるポジションを確立できるかどうかが大切です。そうすることによって、ほかの余計な要素ではなく、仕事のスキルがMさんの評価、という構図を作り出せます。

そのうえ、そういったポジションを築いた後は、変な外野の声は無視してください。カツラをかぶらざるをえない状況というのは、今すぐは変えられないことなのだから、仕事をするうえでは、この点を悩んでも仕方がないわけです。

一方で仕事のスキルを磨くということは自分の努力次第でなんとでもなります。注力(悩む)すべきはご自身でコントロールできる範囲のものにしましょう。

本連載では「自分を好きになる勇気」ということを、何度か申し上げています。Mさんもぜひともその勇気を持ってほしいと思います。外野の声を無視したり、世間に流されない姿勢を貫く第一歩は、「欠点を含めて自分自身を好きになる」ことです。欠点ではなく、自分の個性だ、と開き直ればいいのです。

自分自身が自分の欠点にばかりこだわっていると他人もそこにフォーカスを当てる傾向にあります。逆に自分が堂々としていれば、他人も何も言わなくなります。「自分が自分を応援しないで誰が応援するんだ」という気概を持って、自身で変えられる部分である仕事のスキルを磨くことに注力をしてください。きっと違う世界が開けてきます。

Mさんが周りの声に惑わされずに、ご自身の道を進まれることを応援しています。

安井 元康 『非学歴エリート』著者

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やすい もとやす / Motoyasu Yasui

MCJ社長兼最高執行責任者(COO)。アニメーションの企画・制作を手掛けるベンチャー企業を経て、MCJにて東証への上場を経験。その後、経営共創基盤にて戦略コンサルタントして9年間活躍し、2016年3月にMCJに復帰。著書に学歴コンプレックスに悩みながらも独自の方法でキャリアを切り開いてきた様子を描いた『非学歴エリート』(飛鳥新社)や、自分ならではの人生を生きる術を描いた『極端のすすめ』(草思社)等がある。

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