現役の消費者「高齢者」に気づかない日本のズレ感 五木寛之×和田秀樹(対談・後編)

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五木寛之さんと和田秀樹さんの対談をお届けします
“90歳の壁”を超え、長年の体感健康法をまとめた『シン・養生論』が話題の五木寛之さんと、ベストセラーの第二弾『80歳の壁〔実践篇〕』を上梓した和田秀樹さん。対談前半で「考えるより感じる」ことの重要性が明らかになったあとは、人生100年時代に避けられない「ボケ」の話から。
世界有数の高齢化大国である日本が、「老い」を憎まず、忌避せず、スローランディングしながら成熟するのに必要なこととは。(構成:斎藤哲也/写真:岡村大輔)
前編記事:80過ぎて「病院要らずの人」が健診より重視する事

「ボケ」にどう対処していくか

五木:今回、和田さんと認知症、つまり「ボケ」の問題について話したいと思っていました。ありとあらゆるメディアが今、ボケの問題を気にしています。高齢者の40%ぐらいが認知症になる可能性があると言われているいま、これにどう対処していくかというのは大問題なわけです。

ボケる理由の一つは、情報の遮断にあると思うんです。まず、視力や聴力が落ちるとボケやすい。だから、どうすれば聴力を維持できるかということは、ボケの問題と直結しているんですね。

2年前に、当時97歳の佐藤愛子さんと対談したんですが、リアクションが的確で速いのでびっくりしました。佐藤さんは、外国製の高い補聴器を着けていらっしゃいましたが、何台も取り替えて、やっと納得のいく補聴器に達したらしい。それだけ聴力というのは大事なんですね。

和田:認知症の大規模調査でも、難聴が認知症の大きなリスクになることがわかってきています。『80歳の壁[実践編]』でも書いたんですが、耳が遠くなってきたと感じたら、早めに補聴器を試したほうがいいんですね。

五木:年寄りは、相手が話してるときに聞えなくてわからなくても、「うん、そうだね」って、相づちを打ちたがるものなんですよ。あれをやるとダメなんだよね。年寄りじゃなくても、会議の場で聞こえてないのに「ああ、それはいい考えだね」なんて言ってる人もいますけど(笑)。

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