ここ1カ月ほど世間を賑わせている、大塚家具の内紛劇。事態は今月27日の株主総会に向け、現在は一取締役、一株主という立場の父側が経営権を取り戻すべく、プロキシ―ファイト(委任状争奪戦)を仕掛ける展開となり、いっそう注目度が高まっている。
新聞やテレビのニュース番組はもちろん、ワイドショーやバラエティ番組でもセンセーショナルに取り上げられている一連の騒動だが、夏野剛氏は「父と娘の骨肉の争い、あるいは、ファミリービジネスの危機という単純な話ではなく、これは日本の会社の大きな特徴を捉えているのではないか」と指摘する。
実はありがちな「摩擦」の構図
「これまでのやり方を続けて行こうとする父路線に対し、環境の変化を分析したうえで新しい手を打とうとする娘路線。新しいやり方について行けない古参の社員が、もとの経営者に泣きつく。泣きつかれた側は、昔のやり方に戻そうとする……。これはどこの会社でも陥る可能性のある摩擦の構図だ」(夏野氏)。
また、一時社長の座に戻った父に対し、社外取締役・監査役が改善要望を出す、その後取締役会決議によって父が解任される、久美子氏が社長に戻る、というプロセスを考えてみると、「コーポレートガバナンスに則って(久美子氏が)再登板しているところに、父がプロキシーファイトを仕掛けているわけで。つまり、父の側が言う『(娘の)クーデター』という説は、むしろ逆であって、もう少し冷静な議論をするべき」(夏野氏)。
最後に夏野氏は、「株主さんはいまの状況と今後の成長性を冷静に見て(どちらの味方をするか)判断してほしい。そして、株主でなくとも、誰しもが自分の会社に置き換えて考えてみるべき含蓄の深い出来事だったのではないか」と語った。「仰天のお家騒動」と考えるより、「他山の石」とするのがいいのかもしれない。
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