売れそうにない南国で、「かつら」に熱視線 日本人スタイリストが、イメージを変えた!

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まずは品質。同社では、ウィッグの毛を人毛と合成繊維をミックスさせて作っている。人毛のみだと、手入れが大変。逆に、地場の競合製品に多い合成繊維のみだと、今度は毛の形状が記憶されやすいため手入れが簡単に済む反面、輝きなど見た目が明らかに人工的になってしまうという欠点がある。

そこで、同社のフィリピン工場では、オーダーメイドの場合、頭の形や毛の流れを測定したうえで、フィリピン工場の職人が一本一本手で植毛していく。熟練した技術に裏打ちされた品質の高さを客に伝え続けており、顧客から信頼を得ている。

日本人のスタイリストがイメージを一変させた!

次にサービスの質。田井社長はこれを特に他社との差別化要素として強化したいと考える。そこでシンガポールには日本人のヘアスタイリストが駐在。顧客が購入したウィッグに合うヘアスタイリングのサービスを店頭で提供している。

店舗で接客する日本人のヘアスタイリスト

消費者が求めているのは、髪の毛に対する「悩みの解決」もそうだが、あくまでも自然で、若く、美しく見られたいという「自分らしい美しさ」だからだ。

「お客様のご要望は、それぞれ異なる。高いご要望に応え、満足して頂くためには、商品購入の際だけでなくその後も継続してヘア(美)に関するソリューションを、より高いサービスで提供することが重要」と話す。

そして3つ目、「これが一番の悩み」でもあるというホスピタリティー。顧客の中には、来店した際、髪だけでなく家庭などの悩みについて、店頭で5〜6時間も販売員やスタイリストに話して満足して帰る人もいるという。

「心の満足の度合いは、お客様によって異なる。製品やヘアソリューションサービスだけでは決して補えないものです。提供すべきは、日本流のホスピタリティー。日本人スタッフが、いわゆる日本流の高い接客レベルを、現地で採用した販売員に浸透させる。それによってブランドに対する信頼を得るとともに、お客様に心から満足していただけるよう努力します」(田井社長)。

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