国を作る?亀田病院の「安房10万人計画」

亀田クリニック院長、亀田省吾氏に聞く(後編)

 亀田総合病院の挑戦はとどまることを知らない。「あの病院は大黒字だから行こう」とはならない、カネはつかってなんぼ、必要なのは評論家ではなくクリエーターなどなど。亀田四兄弟の末弟である省吾氏に、グローバルにも通用する医療サービスを目指す高い志と、病院の経営を超え、安房という国を創造するほどの大きなエコサイクル的な哲学について伺った。

 ※前編はこちら

鴨川市の人口の10%が勤務

三宅:亀田病院グループは最先端の医療を取り入れているというだけでなく、「安房10万人計画」など町づくりにも積極的に取り組んでいます。なぜ次々と新しいことにチャレンジできるのでしょうか。

亀田:まずは、千葉鴨川の地でやるからには、「この場所ではできない」という言い訳はしたくないというのがあります。そして、やっていけばいくほど、ひとつ仕事をすると、やらなきゃいけないことが3つくらい出てくる。それを潰していくと、どんどん新しいことが増えていくのです。チャレンジというよりも、ある意味、自然な流れでやるべきことをやっているだけです。

もっとも、自分たちがこの場所を選んだわけじゃなくて、私たちは11代目ですけどね。10年くらい前の千葉日報という新聞に、「千葉県長寿企業100選」という記事が出て、「亀田病院は医療で1645年から続いている」と書いてありました。私たちも全然、知りませんでした。

三宅:えっ、そんなに古いのですか?

亀田:実際には1645年に病院なんてないでしょうね(笑)。なにしろ三代将軍家光の頃ですから。ただ、医者はやっていたんですね。西洋医療が始まったのは5代前の亀田自證という人からで、彼が長崎で蘭学を学び、鴨川に戻ってきます。それまでは僧侶と医者をやっていたけれど、僧侶の資格を返上して鉄蕉館という寺子屋を作り、西洋医療と教育を始めたのが現在の亀田の実質的なルーツといえます。

今、亀田という組織には、病院だけで3000人、グループ全体で4200人の正規職員がいます。その人たちを守って行かなければならない。日本の人口は100年後には4000万人を切り、東京への一局集中が進むでしょう。これからは東京周辺の人口密集地帯の医療崩壊が圧倒的なスピードで進みます。日本の多くの企業が海外に生産拠点を移転したように、そこのエリアに丸ごと引っ越すというやり方もあるでしょう。亀田のネームバリューだったら、これはひとつの方法です。でもこの場所を大事にして、ここで頑張ると決めたからには、町ごとつくっていかなければならない。私たちは少なくとも自分たちの世代はあそこでやろうと決めたわけですから、医療と同じように、町づくりも自分たちの仕事だと思っています。鴨川市の人口の10%はうちの職員ですから。

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