原発被害の地から「医療の未来」を創り出す

新世代リーダー 原澤慶太郎 南相馬市立総合病院医師

原澤 慶太郎
南相馬市立総合病院 医師
原澤 慶太郎
1980年、東京都生まれ。慶應義塾大学医学部卒。現在は亀田総合病院家庭医診療科から南相馬市立総合病院に出向。「地域医療が抱える社会的問題への挑戦が、医師にとって最大のフロンティアである」と確信し、心臓外科医から医師7年目に家庭医に転身。南相馬市でこれまでに13のヘルスケア関連事業を手掛け、その一部は復興庁の支援事業にも認定される。ICカードによる医療福祉ローカルマイナンバー制度の導入も進めている。 趣味は登山、乗馬、辺境地への旅行。特技は剣道3段。座右の銘はDum spiro, spero. (while I breath, I hope. 生きている限り、希望を持つことができるという古代ローマの哲人政治家キケロの言葉)
原発事故で、7万人の市民の多くが着の身着のままの避難を強いられた福島県南相馬市――。福島第一原子力発電所から20キロメートル圏内に位置する南相馬市小高区の住民約1万1000人は現在も自宅に戻ることもできず、多くが同じ市内に設けられた仮設住宅で不自由な避難生活を送っている。
 そうした人々から全幅の信頼を得ているのが、原澤慶太郎医師だ。33歳の若さながら、医師不足に苦しむ南相馬市立総合病院に赴任して「在宅診療部」を立ち上げ、仮設住宅の高齢者宅への訪問診療をスタートさせた。原発事故をきっかけとした人口流出で「高齢化のレベルではわが国平均の20年先を行く」といわれる南相馬を住みよい町にすべく、日夜、さまざまな活動に奔走している。原澤は慶應義塾大学医学部を卒業し、心臓外科医として研鑽を積んできたが、「どうしても地域医療をやりたい」との一心から、原発事故の被災地で住民支援に取り組む。

原澤の活動はスタート時からインパクト大だった。

在籍していた千葉県鴨川市の亀田総合病院から南相馬市立総合病院に赴任した2011年11年。相馬の由緒ある祭にちなんで“Operation Nomaoi”と名付けたインフルエンザと肺炎球菌ワクチンの出張予防接種事業を呼びかけた。

だが、当初から厳しい反応に出くわすことになる。市役所の担当課からは「仮設住宅での医療行為は認められない」「開業医の先生方に迷惑がかかる」「医師会は許可しないと思う」などと思いがけぬ反応に直面したのである。それでも原澤はあきらめずに仮設住宅の集会所に足を運び、住民に出張予防接種のニーズについて聞き取りを続けた。

次ページ市の担当から「NO」をつきつけられても、あきらめず
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