フラフラになって倒れる子育てはもういい

あくまでも子ども目線でーー文京区長(下)

 「政治」というと、「難しそう」「私には関係ない」「偉い人がなんとかしれくれる」と敬遠してしまいがち。しかし、今まで目を向けてこなかっただけで、当 たり前だけれど、政治と私たちの生活はつながっている。経営ストラテジストで作家、そして1児の母でもある坂之上洋子さんが、「あまり知られていないけれ ど、実はいい政策」をフィーチャーし、ビジネス目線、ママ目線、NPO目線で、素朴な疑問を明らかにしていく。
 第3回目は、文京区の成澤廣修区長。

※前編はこちら:離婚する前に「ちょっと待って」という区役所

1人育休を取ったら、どんどんムーブメントが広がった

坂之上:区長が育休を取ったニュースで大騒ぎになりましたよね。あれからどれぐらいになりますか?

成澤:まる4年経ちました。育休を取ったのは2010年ですね。

坂之上:そういえば、あの頃、成澤さんの育休をバッシングしていた三重県知事の鈴木英敬さんは、その後、育休取りましたよね(笑)? 

成澤:そうなんですよ~(笑)。

僕が育休を取ったとき、彼はまだ知事になっていなくて、ブログに「首長がいないなんて、危機管理のうえで大問題だ!」って書いたんです。

その後、結婚して、知事になって、奥さんのお腹の中に子どもがいるとわかったときに、心境の変化があって「自分も育休を取ろう」と思ったそうです。

坂之上:私、鈴木県知事にはお会いしたことがないのですが、自分が一度公表した意見を180度変えるなんてなかなかできないことですよね? どうして、お気持ちが変わったのかとか、鈴木知事とお話されたりしたのでしょうか。

成澤:ええ。危機管理上の問題なんてまったくない、ということがわかったと言ってました(笑)。

普段でも、知事が県の中にいるのは、月の3分の2ぐらいで、あとの3分の1は知事会とか、国との打ち合わせで東京にいたりするのです。で、危機管理ということを考えれば、公務で海外にいて何かあっても駆けつけられないときより、家からすぐ県庁に行ける育休中のほうがかえっていいかもしれないということに、彼は気づいた。

それで、「文京区長には、お詫びしたい」と、言ってくれたのです(笑)。

坂之上:かなりすてきなお話ですね。

成澤:その後も、僕が育休を取ったことで波及効果があって、ほかにも広島県知事とか、10人ぐらいの首長が育休を取りました。

彼らが中心になって、少子化について取り組む国の会議のメンバーになったり、子育てする父親を応援するNPO法人ファザーリングジャパンの活動に協力したりしています。

坂之上:あのときの成澤さんの思い切りをきっかけに、ムーブメントが起こってるのですね。

成澤:そうですね。企業でいえばサイボウズという文京区にある一部上場企業の、青野(慶久)社長のところ、実はうちと同じ日に子どもが生まれたんですよ。

坂之上:そうなんですね。

成澤:彼が、「文京区長、育休取ってすごいな」ってツイッターでつぶやいていて。それを見てすぐに彼に連絡して、次の週ぐらいに会って育休を取らないかって説得した。そしたら彼は、一部上場企業の社長でほぼ初めて育休を取りました。

坂之上:いいですね、そのSNSでのつながりの感じ(笑)。

成澤:その後、彼の会社はずいぶん働き方の見直しをして、今、男女ともにすごい勢いで育休取得率が上がっているそうです。

サイボウズみたいに、働き方の見直しをしたことでむしろ会社が伸びたというロールモデルが増えてくれば、社会全体が働き方を見直すようになると思います。

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