「病院看護師」バブルがやってくる! 11年後に14万人、だぶつきの衝撃

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大学の看護学科新設ラッシュで看護師が今後急増しそうだ。特に病院では、将来深刻な人余りが予想されている。白衣の天使はいかに生き残ればいいのだろうか。
オープンキャンパスでは男子生徒の姿も目立った。地元の高校3年の男子は、「誰にでも親しまれる看護師になりたい」。「子どもの成長・発育を学ぶ」体験授業/足利工業大学(写真:今祥雄)

11校(1991年度)だったのが、今や226校に(2014年度)──。

いったい何の数字かといえば、看護学部・学科を設置した看護系大学の数である。97年度以降毎年約10校のペースで増えつづけ、23年間で20倍以上。日本の4年制大学の総数は約770校だから、実に3・4校に1校が看護系学科を持っていることになる。入学定員の数は、558人(91年度)から1万9454人(14年度)と、実に35倍になった。

少子化もどこ吹く風。大学は今、さながら「看護バブル」ともいえる様相だ。中には、11年度に看護学科を新設した上智大学のように、一見“看護”と縁のなさそうな大学まである。アエラでは、今春看護系学科を新設した17大学にアンケートし、設置理由などを聞いた(文末の資料1参照)。顔ぶれを見ると、北海道から九州・福岡まで全国にまたがる。敦賀市立看護大学(福井県)など3校が単科大学として新設され、奈良学園大学(奈良県)など、これまで医療系学部がなかった大学も新規参入する。そして、ここにも「意外」と思える大学が看護学科を新設している。

現在は看護師不足だが

7月下旬の日曜。この春、看護学部を新設した足利工業大学(栃木県足利市)のオープンキャンパスが開かれた。開始直前、ゲリラ豪雨に見舞われたにもかかわらず、親子140人近くが参加。

同大はもともと同じ学校法人傘下の短期大学に看護学科を設置していたが、社会の変化に対応して大学学部への転換を図ったという。

「4年制だと、看護師だけでなく、これから人手不足が心配される保健師の資格も取得できます。保健師としても活躍できる幅の広い看護師になっていただきたい」

と、荘司和男副学長は大学の使命を語る。 

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