勝ち組は次々にマンションを購入 中国不動産バブルの勝ち組、負け組(後編)

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――中国では不動産投資熱を抑制するため、1家族当たり買える物件を制限しています。

中国で住宅を建築できる土地には使用権70年の住宅用地と、50年のオフィス兼住宅用地があって、制限があるのは70年物件のほう。私が買っているのは大手ディベロッパーが開発する50年物件で、これなら制限はないし、特に問題もない。

――1軒目を買ってからかなり値上がりしたと思いますが、いかがでしょう。

最初に購入したのが2003年で、大学街の物件だった。当時、37万元で買ったものが、今は200万元くらいになっている。それからほぼ毎年、買っていて、たとえば2005年に30万元ちょっとで買った物件を、2010年に売ったときには180万元だった。

これは息子の留学費用にしようと思ったのだけれど、結局、国内の大学院に進んだので、この資金で翌年、ベッドタウンにある80万元の物件を購入した。これがもうすぐ引き渡しされるマンション。

開発が始まったばかりのときに底値で買うと、その後の値上がりが大きい。2009年に51平方メートル40万元で買った物件は今、160万元になっている。今度、引き渡しされる80万元の物件は、150万元にまで上がっている。

最近は前ほどの値上がりはないけれど、昨年末に買った80万元の物件は、2年後の引き渡しのときに130万元、3年後には160万元くらいになっていると思う。これまで買った物件を平均すると、少なくとも5倍にはなっている。

親から借金して利子をつけて返す

――郭さんは商売をしているわけでもなく、ごく普通の研究職でいわばサラリーマンですよね。なぜそんなにたくさんの家を買えるのですか。

最初に買った37万元の物件は頭金15万元を払って、残りを5年ローンにした。当時、私は職場から部屋を支給されていたので、自分はそこに住んで、買った物件は賃貸に出した。ローンの返済が毎月4000元で、賃貸収入は3200元だった。賃貸料も毎年上がっているし、研究職のほうの収入もあるのでやり繰りできた。2軒目、3軒目はちょっと大変だったけれど、ローンを払い終われば、家賃収入が次の資金になるので、そこから先はだいぶ楽になった。

中国人は貯金がゼロになることを怖がるし、借金することに抵抗がある。だから2軒、3軒と、続けて借金しながら買おうとは思わない。でも私は全然気にしない。借金、大好き。なぜなら今年使ったおカネが、来年、いくらになって返ってくるかを考えるから。

おカネは親からも借りた。私たちの親の世代はそれなりの貯金を持っている。一般に数十万元程度の貯金があるのは普通だと思う。老人はとにかく節約するからおカネが貯まる。年金もなかなかよいので、中には子の給料より親の年金のほうが高いということもある。

私の親はそれほど裕福ではないけれど、20万~30万程度なら貸してくれる。私はそれに利息をつけて返す。この話を中国人にすると、親に利息を払うなんて変じゃないかと言われる。でも、銀行ローンは利息がけっこう高い。その割には銀行に貯金をしていてもあまり利息がつかない。ならば、私は親から借りて、利息を親に払えばウィンウィンの関係になる。

――銀行の利息はどのくらい?

ローンの利息は何年で組むかによるけれど、だいたい7%を超える。10万元借りたら7000元以上を返さないといけない。銀行貯金のほうは、10万元を1年間預けて5000元の利息がつく程度。

ならば私は親に、たとえば10万元を借りて年間7000元の利息をつけて返せば、私も親もちょっとずつ得することになる。

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