マレーシアで子育てすると、何がいいのか 「英語は道具」ということが学べる国

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日本人の移住先希望ナンバーワンと言われるマレーシアだが、こちらの生活は良いことばかりではない。先進国入りを目指しているとはいえ、日本のようにシステムが整っていない部分もある(もっとも、日本のようなシステムが整っている国は珍しいのではないかと思うけれども)。教育移住で胸を膨らませて来た親子でも、マレーシア人の英語力が思ったより高くない、治安が悪い、学校の制度が悪い、親や子どもが馴染めない、日本にはない病気がある、交通事情が良くない、思ったより物価が高い、など、テレビや雑誌では紹介しきれないことを知って不満を溜めている人も少なくない。マレーシア人に馴染めない、と言う人も少なくない。そのため、1〜2年で帰ってしまう人もいる。

このコラムでは、いい面、悪い面を併せて紹介しながら、マレーシア移住の実際、理想と現実を取材を交えながら、ご紹介できたらと思っている。連載初回の今回は、クアラルンプールでインターナショナル校に通う子どもを対象にした塾「ACT教育研究所」を主宰する坂本博文所長にお話を伺った。

ACT教育研究所の坂本博文所長

坂本さんはインターナショナル校事情に詳しく、インター校生向けの英語・数学の補習なども行い、年に2回、インターナショナルスクールの進学に関するセミナーも開催する。

坂本さんによれば、以前は現地駐在員の子女が中心だった塾生にも、長期滞在ビザや学生ビザで滞在する子どもが増えて来たという。どんな人がマレーシアに来ているのだろうか。

「イギリス式、アメリカ式、カナダ式などの欧米のカリキュラムを採用するインターナショナルスクールに子どもを入れるケースが多いです。小学校低学年から中学校1年生くらいがボリュームゾーンで、将来的に日本だけでなく海外の大学への入学を見据えて来ているようです」と坂本さんは分析する。

一方で公立学校など、マレーシア式カリキュラムを採用する学校に子女を入れる日本人は少ない。マレー語がネックになっている部分もある。

異文化を体験できるのが大きい

そもそもマレーシアで何が学べるのだろうか。「大きいのはまず異文化体験。そして英語ですね。マレーシアの良さは、英国や米国と比べて、文化の多様性があること。マレーシアだけでもマレー系、中華系、インド系と3つの民族の文化が学べる。これは、子どもたちにとって大きい経験となると思っています。訛りもあるため、英語だけなら欧米のほうが良いでしょうが、ここで子どもたちは、英語はあくまで道具なのだということを実感すると思います」。

一方でマレーシアが合わなくて帰ってしまう人も少なくない。なかには数カ月で帰国してしまった人もいるという。坂本さんは親自身がマレーシアを楽しめるかどうかが一つの鍵だという。

「カッチリしてるものでないと許容できないという方には、マレーシアは厳しいと思います。例えばホームページの情報が間違っているなどということは良くありますし、書いてあることと実態が違うというのも頻繁です。我々の経験とは違うものに親子で柔軟に対応していかないとなりません。二言目に『日本ではこうなのに』とつい言ってしまう人はどこかで衝突してしまうでしょう」

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