マレーシアで子育てすると、何がいいのか 「英語は道具」ということが学べる国

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マレーシアに来る場合、どのようにプランニングするのがベストなのか。「こちらに来るのに良い時期は、小学校の高学年から中学1年生くらいまででしょうか。もちろん個人差はありますが、あまり早く来ると、母語としての日本語を身につけるのに支障をきたすことがありますし、遅すぎると今度は英語による勉強についていくのが大変です。一般的に、英国式のインターナショナルスクールの場合、日本の高校2年で統一試験を受けなくてはならないため、一般的には中学1年生の1学期終了時までに入学して、その試験までに英語力と学力の両方の習得にギリギリ間に合うかというライン。3年生になると、入学自体を受け入れてくれない学校も多いのです」。

米国式ならばほかのシステムと違い統一試験の受験が不要だが、元英領だったマレーシアは米国式の学校数が数少なく、入学競争も激しいのだという。「じつは、近年、学校選びの大きなファクターが学費になっています。最近になって学費が大きく値上がりしている学校もあるのです。米国式のインターナショナルスクールなどは学費だけでも数百万円単位と高いので、多くの家庭は断念せざるを得ない」と坂本さん。

「入ったら日本人ばかり」という不満も

学校情報はどうやって集めればいいのか。「多くの方が非常に少ない情報で学校を決めているのを見ています。最近、学校を見ず、メールの反応がよいからなどという理由で学校を決めてしまう方もおられますが、最低でも、一度は現地に足を運んで、自分の目で学校を見てみることです」。

また英語がまったくできない日本人が入れる学校は限られているため、どうしても特定の学校に集まってしまうという傾向がある。「入ったものの日本人ばかり」というのも良く聞かれる不満だ。

そういう人に、坂本さんは「できるだけ早く英語強化クラスを出ること」を勧めており、塾でもそういった目的のためのクラスを設けている。

「なかには、50カ国以上の子どもがいる学校があります。こうした学校では、いろいろな国の子たちがいるので、比較対象が増えることで見えてくるものがある。そういうものから、子どもが学べるものは大きいのではないかと思います」と締めくくってくれた。

野本 響子 ジャーナリスト

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のもと きょうこ / Kyoko Nomoto

東京都立青山高校、早稲田大学法学部卒業。安田火災海上保険(現損保ジャパン)を経てアスキー入社。『MAC POWER』(アスキー)、『ASAHIパソコン』『アサヒカメラ』(朝日新聞出版)の編集者を経て現在フリー。『僕がアップルで学んだこと』『企業が『帝国化』する』(ともに松井博著/アスキー新書)編集。著書に『いいね!フェイスブック』(朝日新聞出版)、『マレーシアの学校の○と× アジア子連れ教育移住の第一歩』(Kindle)ほか。1990年代半ば、仲良くなったマレーシア人家族との出会いをきっかけに、マレーシアの子育てに興味を持ち、現在クアラルンプール郊外に長期滞在中。趣味はオーケストラでの楽器演奏。

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