「中国を配慮したリバランス」に説得力なし

アジア歴訪でオバマ米大統領が見せた矛盾

4月25日、エアフォースワンに乗りこむオバマ大統領(撮影:尾形文繁)。今回の歴訪は、「リバランス」への理解を求める旅だった

4月23~29日に及んだオバマ米大統領のアジア歴訪。その最大の目的といえるのが、オバマ政権が進める「リバランス」に対し、日本、韓国、マレーシア、フィリピンの各政権に理解を求めることだった。

リバランスを直訳すると、「再均衡」という意味だが、軍事と外交の軸足をアフガニスタン、イラクなどの中東、中央アジア地域から、経済発展著しいアジア太平洋へ移していくことを指す。中国の軍事的、経済的な台頭に対応し、日本、ASEAN、オーストラリアなどとの連携を強化するため、オバマ政権が2011年11月にかかげた政策だ。しかし、訪問の成果は限定的で、むしろリバランス政策には大きな矛盾があることを露呈する旅になったといえる。

そもそも、ウクライナ情勢が緊張感を増し、シリア内戦が続き、米国の仲介で再開したイスラエルとパレスチナの中東和平協議が事実上決裂した、というタイミングでのアジア歴訪だ。オバマ政権の外交政策の行き詰まりは明らかであり、いずれの訪問国の記者会見でも、中東や欧州地域の軍事的な危機についての質問が目立った。

フィリピンでも中国に配慮

唯一、「リバランス」の成果をアピールできたのが最後の訪問先、フィリピンだろう。22年ぶりの米軍駐留回帰を実現した新規軍事協定締結会見でオバマ大統領は「これは新時代の幕開けを意味し、アジア太平洋での両国の連携はこれまでになく強化される」と豪語した。その一方、「中国への対抗ではない」「海洋紛争の対応でなく、災難発生時へのフィリピン軍の強化」と腫れ物に触るかのような中国への配慮もみせた。

軍事力はアジアの中でももっとも微力ながら、反中国の急先鋒といえるフィリピンは、排他的経済水域では一貫した強硬姿勢を見せてきた。2013年1月には、中国が決めた九段線(1950年代から中国が南シナ海における領有権を主張するために地図上に引いている、9本の境界線)の無効を求め、オランダのハーグの常設仲裁裁判所に中国を提訴している。

ところが、そのフィリピンのアキノ大統領までもが、「我々は他の国を軍事力で脅そうとはしていない。一機の空軍機も出動させたことはない」と中国への配慮を見せた。

オバマ大統領は、中国との領有権紛争の危機に陥っても、米国がフィリピンを防衛するとは約束していない。オバマ政権の真の狙いは、中国を牽制するのではなく、米国が主導する秩序に中国をうまく組み込ませていくことだ。当然、アジア諸国も、中国を孤立させることは賢明でないと考えており、中国を牽制する目的を含んだリバランス政策には、懐疑的だ。

そんな中、オバマ政権が今回の歴訪で重点としたのが唯一、同盟国でない、将来的な「戦略的パートナー」と位置づけるマレーシア。今回の米国の大統領訪問は1966年のジョンソン大統領以来、約半世紀ぶりだ。

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