政府は、6月中に策定する経済財政運営の基本方針「骨太の方針」の素案に、法人税の実効税率を現行の約35%から数年で20%台に引き下げる方針を盛り込んだ。法人税減税は新たな成長戦略の骨格をなすものだが、企業の純利益を左右するのは法人税率だけではない。
企業の法人税負担には、実際どれほどの差があるのか。売上高3000億円以上の上場企業を対象に、法人税額と、これを税引き前利益で除した税負担率を調べてみた。
調査にあたっては、単独決算の開示が減ったことから、連結ベースとした。ランキングに使用した「調整後法人税額」とは、直近の本決算に示された法人税額(法人税、住民税及び事業税)に、税効果会計による調整額(法人税等調整額)を加減したもの。
調整額を用いたのは、今回は法人税支払額の多寡よりも、法人税が税引き後の最終利益(純利益)に及ぼす影響をみたかったためだ。連結ベースでは、決算を米国・国際基準で発表する超大手企業を中心に、あらかじめ調整額を加減した調整後法人税額しか開示しない企業が多いことも、調整後法人税額を使用した理由の1つである。
ソフトバンクは税額でもドコモを凌ぐ
調整後の法人税額が最も多かったのはトヨタ自動車で、7678億円に達する。直近2014年3月期は2兆4000億円もの税引き前利益を計上し、法人税を差し引いた純利益は2年連続トップ(「最新決算『ベスト200&ワースト100』」はこちら)。
ここで使っている会計上の収益と、法人税法による実際の課税所得とは必ずしも一致しないが、6年ぶりの納税額は上場企業屈指となったことは間違いない。同業のホンダも軽自動車のヒットなどで大幅な増益を果たし、9位に入った。
情報・通信業界のNTT、ソフトバンク、NTTドコモ、KDDIの4社も、番付上位にランクインした。ソフトバンクは、パズドラのヒットで業績が好調なガンホーの連結化などにより営業利益で1兆円の大台越えとなった。6位のソフトバンクは利益同様、法人税額でもライバルNTTドコモの7位を上回った。
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