ついに6月13日に『会社四季報』夏号が発売になった。前2014年3月期決算は上振れ着地も目立った。ここでは、前号である春号(2014年2集)の四季報予想がそれをどれだけ先取りしていたか検証してみたい。
まずは、的中リストだ。多くの企業が業績見通しを開示しているものの、会社によって強気すぎたり保守的だったりとまちまちなのが現実。四季報記者は約3500社の全上場会社に裏付け取材をすることで、独自に予想を変えるケースも少なくない。
そこで、手前みそになるが、前回に続いて四季報がどれだけ業績修正を先読みしていたかをチェックしてみた。今回の対象は四季報春号が発売になった3月14日以降に業績見通しを修正した会社だ。業績上振れ企業の中には、例年保守的な予想を出すところもあり、新年度でも上振れる可能性が高く、注目したいところだ。
200億円以上の「上方乖離予想」も
四季報が上方修正を先読みした銘柄で乖離額がもっとも大きかったのが第一生命保険。変額年金や外貨建て終身保険が好調なのに加え、円安で利息配当金収入も増えて逆ザヤ解消もあるとみて、四季報では210億円上振れる2700億円と予想し た。一方、昨年11月時点の会社見通しは経常益2490億円。5月2日には3040億円へ修正し、その後、15日の決算発表では経常益3047億円(前期 比93.7%増益)で着地した。
太平洋セメントも大幅な上振れとなった。会社は2月の第3四半期決算発表時に昨年11月に修正した営業益見通し640億円を据え置いた。が、四季報はセメント、骨材などの出荷が上振れると見込み、独自に営業益予想を685億円へ引き上げた。結果は5月9日に700億円への上方修正。13日の決算発表では704億円での着地となった。
細かいところまでぴたりと当てた企業もある。5.9億円の上振れを予想した、北海道地盤の機械商社、ナラサキ産業だ。会社は2月にも14年3月期の通期見通しを17億円から19億円に引き上げたが、太陽光発電用パワコン、ビル施設が絶好調であり、四季報ではすでに独自増額をしていた予想数字を精査し、24.9億円の予想とした。そして5月8日にナラサキ産業が修正した営業益は24.9億円と四季報予想と同額だった。13日に発表した決算発表でも営業利益は24億9600万円での着地だった。
もちろん、EIZOや新光電気工業などのように、上方修正は当たったものの、四季報予想が強すぎたケースもある。一方で、アルフレッサや三協立山、アルバックのように上振れ額が慎重だったものもあり、予想の難しさを物語っている。
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