若者が得たセックスの自由は大事にしていい

湯浅誠×瀬戸内寂聴 リベラル対談(後編)

 今の日本は、保守化、右派の影響力が高まっている。その背景には、韓国、中国への感情悪化だけでなく、リベラル、左派の魅力のなさ、ストーリーのなさがある。今の日本のリベラルに、欠けているものは何か、どうすれば国民の心をつかむことができるのか。社会活動家として最前線で戦ってきた湯浅誠氏が、論客との対談を通じて、「真のリベラル」の姿を探る。
 第1回の論客は、小説家の瀬戸内寂聴さん。対談の前編「90年の人生で、今の日本がいちばんひどい」は、こちら。
「貞操」は死語と語る瀬戸内寂聴さん

戦後、いちばん変わったことはセックスに対する開放

──次世代のリベラルとは何かを引き続き、伺います。

瀬戸内:リベラルというと、戦後、いちばん変わったことはセックスに対する開放ね。私たちの世代から見たら、非常に自由になりました。特に女の子なんか、セックスの自由は本当にすごいですよ。

でも、私はこれをいいことだと思っているの。今から約100年前に、平塚らいてうが日本で初めての女流文芸誌『青鞜(せいとう)』を作った(1911年創刊)。その『青鞜』に「貞操」がどうこうと書いてあると、世の中の人はビックリ仰天して大騒ぎしたんです。だけど、今は中学生でも貞操の観念なんてない。処女と結婚しようなんて思ったら幼稚園を探さないといけない、そんな時代ですよ。

湯浅:そこまではいかないと思いますけどね(笑)。

瀬戸内:当時、うら若い嫁入り前の娘が平気でそういう話をして、みんな卒倒したの。そんなことは私たちの時代には考えられなかった。まあ、私の場合はちょっと変わっていましたけどね。

今、「貞操」という言葉自体、死語でしょう。28歳のキャリアウーマンに言ったら、「それ何ですか」と聞かれましたよ。それで「身を守れ」なんて言ったら笑いますよね。「あなた、それじゃ、お嫁にいけませんよ」と言ったって聞かないし、「お嫁になんかいかなくてもいい」って言われちゃう。だから、やりたいだけやらしておけばいいんですよ。必ず問題にぶつかるから、そのぶつかったときに本気で考えれば道が開けてくると思いますね。

湯浅:行くところまで行ったほうがいい、と。

瀬戸内:だけど、今の子は政治には本当に無知なのね。今日、誰と寝るかなんてことしか考えていない。それでも、私はセックスに対する開放を元に戻せとは思わない。元に戻すとロクなことないですよ。ひどい目に遭うのは自分たちなんですから、それを味わったほうがいいと思うんですよね。

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