90年の人生で、今の日本がいちばんひどい

湯浅誠×瀬戸内寂聴 リベラル対談(前編)

 今の日本は、保守化、右派の影響力が高まっている。その背景には、韓国、中国への感情悪化だけでなく、リベラル、左派の魅力のなさ、ストーリーのなさがある。今の日本のリベラルに、欠けているものは何か、どうすれば国民の心をつかむことができるのか。社会活動家として最前線で戦ってきた湯浅誠氏が、論客との対談を通じて、「真のリベラル」の姿を探る。
 第1回の論客は、小説家の瀬戸内寂聴さん。
社会活動家の湯浅誠さんと小説家の瀬戸内寂聴さんが、原発問題や戦争について語り合った

若い人にリベラルな考え方をどう伝えるかが課題

──今日は、次世代のリベラルについて伺いたいと思います。まず先の東京都知事選を、おふたりはどのようにご覧になりましたか。

湯浅 誠 社会活動家
1969年、東京都生まれ。東京大学法学部卒。2009年から足掛け3年間、内閣府参与に就任。内閣官房社会的包摂推進室長、震災ボランティア連携室長など。政策決定の現場に携わったことで、官民協働とともに、日本社会を前に進めるために民主主義の成熟が重要と痛感する。現在、朝日新聞紙面審議委員、日本弁護士連合会市民会議委員、文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」レギュラーコメンテーター。2014年度から法政大学教授。講演内容は貧困問題にとどまらず、地域活性化や男女共同参画、人権問題などにわたる。著書に、第8回大佛次郎論壇賞、第14回平和・協同ジャーナリスト基金賞受賞した『反貧困』のほか、『ヒーローを待っていても世界は変わらない』など多数。

湯浅:若い人たち、特に20代の4分の1が、田母神俊雄さんに投票しました。若者の投票率は低いので20代全体の6%にすぎない。とはいえ、リベラルな考え方のほうが世の中を良くして発展させていくことを、若い人たちにどういうふうに伝えていくかは大きな課題だ、とあらためて思いました。

──瀬戸内寂聴さんは、脱原発を訴える細川護煕元首相を支持し、応援演説もされました。

瀬戸内:20代の若い人たちは選挙に行っていませんよ。行かなくてもいいと思っているから。選挙権を持っていることの意味がわかっていないの。何であんなところに行かなきゃいけないのって、そういう感じですよ。

自分のことしか考えていなくて、自分以外のものはどうでもいいのね。今の若い人は、自分と世界というものを考えなきゃいけない。世界の中の自分というものを考えるべきだと思いますね。

湯浅:一方で、若い人は仕事もけっこう大変だし、生活に追われていて、「政治に目を向けよう」と言っても、国会や法律が遠く感じてしまうところもあるようです。

瀬戸内:でも、なぜ若い人が貧乏なのかをよく考えないと。給料が安いのは自分が悪いわけではなくて、社会の成り立ちが悪いからでしょう。自分の責任ではなくて、給料をくれるほうが悪いのです。そうやって、どこに原因があるかまで考えないんじゃないかしら。生活に余裕がないのはわかりますけど、お風呂やトイレに入っているときはひとりなんだから、そのときに考えたらいいと思うの。余裕がないというのは言い訳のような気がします。

湯浅:確かに、お風呂やトイレに入る時間は誰にでもありますね。

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