リーダーになる人には、どんな人徳が必要か

湯浅誠×加藤紘一 リベラル対談(前編)

 今の日本は、保守化、右派の影響力が高まっている。その背景には、韓国、中国への感情悪化だけでなく、リベラル、左派の魅力のなさ、ストーリーのなさがある。今の日本のリベラルに、欠けているものは何か、どうすれば国民の心をつかむことができるのか。社会活動家として最前線で戦ってきた湯浅誠氏が、論客との対談を通じて、「真のリベラル」の姿を探る。

 ミイラになれるお坊さんの条件

湯浅:加藤さんからは、いろいろなお話を伺っています。私独りじゃもったいないので、この対談でお伝えできたらと思って。この間、伺ったミイラの話が、とても面白かったのですが。

加藤:あぁ、山形県の即身仏の話ね。

湯浅:ミイラ化したお坊さんの遺体なんでしょう?

加藤:そう。山形には、大日坊という有名なお寺にもあるんだけど、そこから、100メートルぐらい里山のほうに降りたところにも、地元では知る人ぞ知る寺があって、そこにもミイラがいるんですよ。そこの人の話が面白いんだな。

「加藤さん、だいたい昔から即身仏っていうのはね、人望人徳のあった寺の坊さんがなったんだ」と。お坊さんが年をとって、そろそろ人生おしまいだという頃に、村の衆から、「和尚さん、生きながら仏になってくれないか。それでわれわれ農民の苦しさを救ってくれ」と頼まれるそうです。

湯浅:すごい話ですよね。

加藤:これが徳のない生臭坊主が「俺はミイラになる」と言うとね、「やめてくれ、冗談じゃない」って村人から断られるんだって。

湯浅:(笑)

加藤:「その点、うちの先祖は頼まれて仏になった」というわけですよ。

湯浅:それは、自慢になりますね。

加藤:仏になるには1年くらい前から準備を始める。まず、うすーい膠(にかわ)の液を飲む。すると内臓が腐らないそうですよ。それでそろそろ死期が近づいたことがわかると、寺の裏に土を盛ってその中に入る。生きながら土に埋められるわけだけれど、頭の上には竹筒で空気抜きが通してある。そこに入って「南無妙法蓮華経」とお経を唱えて、鈴をチンと鳴らす。

湯浅:空気抜きから声が聞こえるわけですね。

加藤:そう。声が聞こえると、ああまだ生きているとわかる。でもしばらくするとそれが聞こえなくなる。「ああ、和尚さん逝っちゃったな」ということで、土を掘り返すと、案の定死んでいる。それを2週間ぐらいほっとくと、だんだん水分が抜けていくから、今度はかなり濃度の高い漆を全身に塗る。そうするといいミイラになるそうです。

まぁ、肝心なのは、誰でもなれるというわけじゃないというところだね。

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