人生で迷ったら、直ちに危険な道を選べ!

相手のすべてを知り尽くしたら、恋愛できない

獣や魚がどうなのかは知らない。だが古今東西、老若男女、人が悩み、迷うのは確か。“戦う哲学者”中島義道氏が開く人生相談道場に“同情”はない。ここにあるのは、感受性においてつねにマイノリティに属してきた中島氏が、壮絶な人生経験を通じて得た、ごまかしも容赦もない「ほんとうのこと」のみ。“みんな”の生きている無難な世界とは違う哲学の世界からの助言に、開眼するも、絶望するも、あなた次第である。

※中島義道氏への人生相談はこちらから

【vol. 11】
 先生はじめまして、2shotダイヤルの女の子が大好きになり、約2年余りになります。思いを告げてはいるのですが、なかなか進展せずつらい日々を過ごしています。
 バカバカしいと思われるかもしれません。 お客さんとしか見てないよって言われるかもしれません。 ですが、僕は真剣に彼女を思っています。 彼女の本質をわかっているからなのです。
 お互い顔も姿も知らないのですが、顔とか容姿なんて僕にはどうでもいいことなのです。 彼女のことを何も知らないのは現状では事実なのですが、福島からひとり出てきて懸命に生きている、そして会話やメールの端々で人となりが僕にはわかったのです。
 最近、彼女から僕のことを何も知らないので不安だと言われ、僕は自分の生い立ちを長文メールで話しました。 彼女はありがとうと言っていました。 しかし、会う約束はまだできていません。 会って食事して話ができることが僕の願いです。
 下心はないです。ちゃんと真剣交際したいのが最大の願いですが、お会いしてたくさん話して、彼女にこの思いを正確に理解してもらえるよう頑張る場がまずは欲しいのです。
 僕は今年の2月にペースメーカー埋め込みの手術を受けたのですが、何か延命治療のような気がして躊躇していました。彼女にそのことを告げると、必要なんだから受けるべきと言われ受けました。 でも、この恋が成就しなければ、もう後のケアはしないつもりです。これまでにいくつかの恋愛はしましたが、これほど人が恋しいと思ったことはありません。
 先生、どうか戯言と思わず考えてください。よろしくお願い申し上げます。
(男性 会社員)

 私の理解を超えた恋愛相談に挑む!

今回は、正直、困りました。「2shotダイヤル」というものがまったくわからないからです。それで、編集者に聞いてみたのですが、ぼんやりとしかイメージが浮かばない。私は大体、信頼できる人間関係は直接の出会い(パーソン・トゥ・パーソンの関係)しか認めないので、電話(声)だけで恋愛が可能だということ自体がわからない。「お互い顔も姿も知らない」同士が恋愛するとは、私の理解を超えている。それでも、「答えてしまう」のが、プロの哲学者(?)というものです。

普通、人が人生相談を持ちかけるときは、次のような心の状態にあるといっていいでしょう。すなわち、自分はAとBとの間で迷っている。Aは人聞きもいいし、安全だし、常識にもかなっている選択肢。そして、Bは逆に、人の顰蹙を買うかもしれず、危険を伴い、非常識な選択。そして、相談者は、みんながAを勧めることを知りながら、Bを選びたい、とは言わないまでも未練が残る。それで、Bを選ぶ自分の背中を押してほしい、あるいは、勇気を与えてほしい、あるいは、逆に、Bに未練が残らないほど恐ろしい選択であることを教えてほしい……大体、こんなことだろうと思います。

そして、私は「普通」ではないので、こうした要求を充たすことはできません。私は以上のような場合、直ちにBを選ぶように勧める。なぜなら、この人生は死にたくなるほど退屈でへどが出るほど下劣なので、自分の欲望を抑えて、あえて「安全な選択」をしても、とりたてて得るところはないからです。あるとすれば、さらに退屈でさらに下劣な人生を「つつがなく」過ごし、「安全に」死ぬことだけでしょう。

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