「海外就活」が当たり前の時代がやってきた! 岡崎仁美「リクナビ」編集長×森山たつを対談(1)

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2012年、大手就職情報サイト「リクナビ」編集長・岡崎仁美氏がトレンド予測した「セカ就」(=世界を舞台にした就職活動)は、2013年にかけて、朝日新聞や毎日新聞などが特集を組みNHKでも放映されるなど、“国境を超えた就職”の可能性が、今、注目を集めています。
海外留学生の減少など、学生の“内向き志向”が取りざたされる中、海外での就職・転職活動はまだまだ「帰国子女やバイリンガルのエリートだけのものでは?」というとらえ方が根強くあるのも事実。
そこで今回、「リクナビ」編集長兼就職みらい研究所所長の岡崎仁美氏と、先日『セカ就! 世界で就職するという選択肢』(朝日出版社刊)を出版し、東南アジアを中心に就転職を行う日本人をフィールドワークする「海外就職研究家」森山たつを氏の対談をお届けします。
海外で働くことを目指す、あるいは実際に働く若者を「現場」で見てきた2人のメッセージは、「今の働き方に未来はあるのか」と日々悩む多くのビジネスマンにも、大きな示唆を与えるものと思います。

仕事を“輸入”する時代から、“輸出”する時代へ

――まず、2012年にリクルートが発表した就職領域トレンドワードとして、「セカ就」という言葉を挙げられた理由、その背景にある社会状況などを教えていただけますか?

岡崎:「セカ就」という言葉は「世界就職」を短縮したものです。実は「海外」ではなくて、「世界」というところにこだわっています。今は「国の中か外か」ではなく「“ひとつの”世界の上で通用する人間になりたい」と学生の志向に変化が生じていると感じています。また、「いつか、海外で働きたいな」という人は昔からいましたが、今の学生はそれでは待てないと。「いきなり世界デビューできる仕事を探したい」という思いが強いと感じています。それで、「いつかは海外」ではなく「いきなり世界へ」と、「セカ就」にサブタイトルをつけたんです。

今の学生は「内向きだ」と言われることがあります。私は「リクナビ」などの就職情報メディアを通じて、約20年にわたり採用したい企業と就職したい学生とを結び付けるお手伝いをしてきましたが、実際の学生はさまざまで、ひとくくりで表現するのは難しい。確かに内向き傾向も認められる反面、現実的な就職先として世界を視野に入れている人も確実に存在しており、彼らに代わって主張したいという思いもありました。

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