グローバル化で新卒一括採用は崩壊する
矢下茂雄 楽天みんなの就職事業長に聞く
――2014年新卒採用の動きを振り返ってください。
全体的に学生の動きは遅かった。意識の高い学生は3年生の夏休みにインターンシップに参加するなど就活をしていたが、多くの学生は「12月から始めればいい」という姿勢でのんびりしていた。
また、最近は企業が学内説明会をする大学を絞っている。企業は採用ターゲットとならない大学では学内説明会を開催しない。学内説明会が開かれる大学の学生は早めに就活を開始するが、学内説明会が行われない大学の学生は意識が高まらず、就活開始が遅れる傾向がある。
――企業は採用に手応えを感じていますか?
ある大手企業の採用担当者は「今年はいい学生がいなかった」と言っていた。毎年、これはすごいと評価できる突出した学生がいるのだが、今年はいなかったと言うのだ。こうしたコメントをする企業は夏休みにインターンシップを行っていない。
インターンシップが採用に直結していないとはいえ、企業はインターンの中で優秀な学生を発見し、インターンシップ終了後も接触を継続する。学生はインターンシップで企業に好感を持てば、その企業にエントリーする。要するに、就職解禁の前から学生と企業の間にはいい関係ができているのだ。
インターンシップを行わなかった企業が、このいい関係の間に割って入るのは難しい。これはすごいという優秀な学生がいないのではない。すごい学生は最初からインターンシップを行った企業に流れてしまうのだ。
――企業はインターンシップに積極的なのですか?
前年の採用(13年新卒)のときに、業界トップ企業は思いどおりの採用ができたが、2位以下の企業では内定辞退が多かった。2位以下の企業が内定を出しても、トップ企業に学生が流れてしまったのだ。
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