ソニーが掘り当てたエレキのサバイバル術

SONY再起動へ。打倒アップル・サムスンへの曙光(上)

6月10日、東洋経済記者とのインタビューに応じる平井一夫社長(撮影:尾形文繁)
9月上旬に開催されたドイツ・ベルリンでの家電ショー「IFA 2013」。例年、ソニーは年末商戦に向けての商品展示とともに、事業戦略を遂行する上での重要なメッセージを発信してきたが、とりわけ今年のIFAは重要なイベントだった。平井体制になって1年半が経過し、はじめて平井氏の考えが盛り込まれた製品群が登場するタイミングだったからだ。
”黒モノ”家電を主軸に据えてきたメーカーが出展規模を縮小し、新製品開発のペースも落としてきている中で、ソニーだけが多様な分野にわたって新製品を連発。モバイル端末、デジタル家電の分野で、アップルやサムスン電子と正面から渡り合う姿勢を明確にした。今後、新たな戦略の元で次々に新製品を放っていくというソニーの意図を、2回に分けて探って見たい。

変化し続ける"ゲーム・ルール" 

まず、最初に日本のデジタル家電全体から見ていこう。”モノが売れない時代”とされ、とりわけ電機業界全体が不調に陥っている背景には、超円高、韓国企業の伸長といった事象も数えられるが、根本的な部分では産業構造のドラスティックな変化に対応できなかったことにある。

電機産業の歴史は、基本的なエレキの技術を応用し、新たな商品カテゴリを生み出し、枝葉のように専用機を横展開してきた歴史だ。しかし、かつてPCという汎用機(何でもできる万能機械)がワープロ専用機を駆逐したように、スマートフォンは、そうした家電業界の構造を根本から壊し始めている。すなわち、テレビ、カメラ、カーナビなどの専用機市場のうち普及価格帯の部分がことごとく侵食されているのだ。

消費者は、モノを欲しがらなくなったわけではない。お気に入りのアプリと高性能なスマートフォンさえあれば、おおむね自分の目的が達成できることを知ってしまったのだ。しかも、専用に作り込まれた優れた製品を使うと、より高品位な体験を得られるという、30代以上であれば当たり前の"原体験"すら、パソコン(=汎用機の代表格)が当たり前の世界で育った最近の若者は持っていない。

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1976年に創業し、90年代の渋カジブームを牽引したビームスが今も元気だ。創業以来赤字知らず。40年、最先端を走り続けられる秘密は何か。設楽洋社長への独占インタビューを掲載。