ソニーが掘り当てたエレキのサバイバル術 SONY再起動へ。打倒アップル・サムスンへの曙光(上)

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ソニーを苦しめ始めていた事業環境変化が、さらに多様な商品分野へと伝搬していく。このまま変化を見逃していては、生き残る術はなくなる。そこでまず、インターネットを通じてコンテンツやサービスを自ら提供できなければ、事業展開の幅が狭くなると判断。SCEが構築していたPlayStation Network(PSN)を拡張し、ソニーグループ全体で活用できるようにする、という計画を進めた。

ネットワークを中心としたサービスの代表が「Music Unlimited」。さまざまなデバイスに対応した音楽聴き放題サービスだ

これが現在の「Sony Entertainment Network(SEN)」だ。クラウドという大きな枠で、ソニーが独自にコンテンツとサービスのプラットフォームを構築するためには、すでに多くの有料会員を抱えるPSNを基礎とする必要があったためである。

その後、鈴木氏がSCEの代表取締役副社長を兼任するようになるのも、こうした考え方に基づく一連の事業戦略の一環だったと考えられる。SENは映像、音楽、写真といったものだけでなく、ちょっとした情報同期や連動のための情報の受け渡しなど、さまざまな場面でソニー製品と連動するようになった。

「当初、機能や品質の面で苦闘が続いたが、現在は次のステップへ踏み出すための足場になっている」と鈴木氏。このSENもまたソニー復活を占う上で重要な要素である。

SONY再起動へ。打倒アップル・サムスンへの曙光(下)は10月15日(火)に配信予定です。

本田 雅一 ITジャーナリスト

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ほんだ まさかず / Masakazu Honda

IT、モバイル、オーディオ&ビジュアル、コンテンツビジネス、ネットワークサービス、インターネットカルチャー。テクノロジーとインターネットで結ばれたデジタルライフスタイル、および関連する技術や企業、市場動向について、知識欲の湧く分野全般をカバーするコラムニスト。Impress Watchがサービスインした電子雑誌『MAGon』を通じ、「本田雅一のモバイル通信リターンズ」を創刊。著書に『iCloudとクラウドメディアの夜明け』(ソフトバンク)、『これからスマートフォンが起こすこと。』(東洋経済新報社)。

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