ソニーが掘り当てたエレキのサバイバル術 SONY再起動へ。打倒アップル・サムスンへの曙光(上)

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この流れは、まずITとの融合によって崩れ始める。ソニーはPCがパーソナル化する時代にAVとの融合をいち早く唱え、VAIOでのAV-IT戦略を進めた。しかし、この時期にはまだAVとITの融合を探る時期であった。ITが優勢になっていきはしたが、AVを吞み込んだわけではなかった。

対応策を練り始めたのは2007年

「ところが、スマートフォンの登場によってゲームのルールがまったく変わってしまった」(鈴木氏)。

2007年に初代のアップルiPhoneが登場して以降、スマートフォンが急速に台頭し始める。クラウドコンピューティングも一気に進み始めた。ソニーがこうした事業環境全体の変化への対応策を練り始めたのは、同じ2007年だった。

井原勝美氏は現在、ソニー生命社長を務めている(撮影:尾形文繁)

当時、コンスーマープロダクツグループ商品事業戦略室長だった鈴木氏は、上司だった井原勝美副社長、それにソニー・コンピュータエンタテインメント社長などを務めていた現社長の平井氏とともに「デジタル化、IT化による事業環境の変化は、いずれモバイル分野へと広がり、影響を受ける製品ジャンルはさらに大きくなっていくだろう」と予想を立て、事業戦略の見直しを進めたという。

当時はPCを中心に、多様なサイズの画面に対してコンテンツやサービスをどのように展開するか、といった議論が活発だったが、最終的にはモバイル機器が中心に移り変わると予想を立てていたのだ。

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