銀座「食パン専門店」に行列する人のお目当て

国産小麦の実力はどこまで向上したか

銀座「セントル・ザ・ベーカリー」に並ぶ人たちが、こぞって求めるものとは?

3月のある金曜日。東京・銀座にある「セントル・ザ・ベーカリー」には朝9時だというのにすでに人が並び始めていた。10時の開店のころには、外には長い行列ができている。これは何もこの日に限った光景ではない。2013年3月のオープン以来、ここには「究極の食パン」を求めて、日々国内外から多くのパンファンが押し寄せているのである。

「食パン専門店」という流行をつくった同店で売られているのは3種類。国産小麦を使った「角食パン(JP)」が2斤分で税込み840円、しっとり・もちもちした食感で生食に向く。北米(アメリカ・カナダ)産の強力粉を使った「プルマン(NA)」が税込み840円。焼いてもナマでも食べられる。食感はさっくり・もっちりの標準的な味わいだ。

もう1つは、北米産の強力粉に、パンらしい小麦の香りを出すフランス産小麦粉を加え、しっかり・カリカリの食感を楽しめるトースト向きの「イギリスパン(EB)」が税込み735円。1斤分が350円以上で、スーパーの一般的な食パンの倍以上もする。

1日の販売数のうち、最大8割が国産小麦を使ったパン

「セントル・ザ・ベーカリー」に並ぶ3種類の食パン。店内には食パンを食べられるレストランもある(撮影:倉沢 美左)

1日に売る食パンは1200~1400本だが、そのうち1000本がJP。同店を経営するル・スティルの西川隆博社長は、出店の理由の1つを、「普通に食べて、柔らかくておいしいと思われるパンを作ること」と話す。そのことが「国産小麦が本当にパン用として定着していくかどうかのいちばんのポイント」と考えたからだ。安定した品質のパンを作るため、JPは、北海道産小麦「ゆめちから」に、北海道で最も生産量が多くなめらかな質感の中力粉、「きたほなみ」をブレンドしている。

「国産小麦を使っています」――。「セントル・ザ・ベーカリー」のような大手だけでなく、町のパン屋でもこんな表示を見かけることが増えてきた。消費者の食の安心・安全に対する関心が高まる中、飲食店では国産品を使っていることが、ウリにもなる。が、現状小麦の自給率は10%あまり。新たな品種開発も進んでいるが、すべてが国産に切り替わればいい、という問題でもなさそうだ。

東京都内でパン屋を営むTさんの悩みは、国産小麦から作った小麦粉の値段が高いこと。「いくらで仕入れているかは言えないのですが、『高い』と言われるフランス産小麦も、国産に比べれば安いほどです」と話す。

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