エンゲル係数の急上昇は何を意味するのか

消費を増やし経済を安定化させるためには?

所得が増えなければ消費は増加しない(写真:ふじよ/PIXTA)

2017年の春闘がどうなるのかは消費の先行きに大きな影響を与える。2017年1月の有効求人倍率は1.43という高水準で、失業率も3.0%という低い水準であり、労働市場の需給逼迫は明らかだ。新卒者の就職戦線は著しい売り手市場で、企業の人事担当者は新卒者の確保にやっきになっている。

しかし、こうした中でも賃金は低迷している。人手不足を反映して、パートやアルバイトの時給は上昇しているが、正社員の賃金の上昇には結び付いていない。

日本は賃金が上昇しやすい環境にある

3%という失業率の水準は、日本経済で失業と欠員が一致する構造失業率として考えられている水準にある。労働力人口にちょうど見合うだけの雇用が経済にある状態なので、完全雇用という言い方をする人もいる。自ら職を辞して条件がよい仕事を探す人がいるので、どれほど景気が過熱して人手不足になったとしても、失業者がまったくいなくなるということはない。「完全雇用」とはいっても失業率はゼロ%にはならない。

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需給が逼迫すれば価格が上昇するという経済の基本的な考え方に立てば、構造失業率に近い水準にまで失業率が低下すれば、賃金は上昇しやすい状態にあると考えられる。

賃金上昇率と失業率の間にはフィリップスカーブと呼ばれる逆相関の関係があることは確かだが、失業率が何%になれば賃金上昇率が加速するという固定的な関係ではない。労働市場の背景となる経済社会状況に影響されて、賃金の上昇が加速しはじめる失業率は必ずしも一定ではない。

賃金が上昇すればサービス価格が上昇しさまざまな商品の価格上昇に波及するし、逆に物価が上昇すれば労働者は生活を維持するためにそれに見合う賃上げを求める。賃金上昇率が物価上昇率に影響を与え、物価上昇率が賃金上昇率に影響するという密接な相互関係がある。現在の経済学でフィリップスカーブとして使われるものは、賃金上昇率を物価上昇率に置き換えて、物価上昇率と失業率の関係にしたものが多い。

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