勉強しない大学生が、量産されるメカニズム 悪いのは大学生ではなく「構造」だ

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まさに、連載第1回でご紹介した事例を地で行く大学生活だったのですが、周りの友人たちも似たりよったりだったので、大学生活とはこんなものかと、当時は特に疑問に思うこともありませんでした。

要は、大学生が勉強しないのは、今も昔も同じなのです。

ですから、「昔の大学生のほうが知的能力に勝っている」というつもりなどまったくありません。また先生方に関しても、「昔の先生はよくて、今の先生はよくない」というつもりもまったくありません。

なぜ「勉強しない大学生」が再生産されつづけるのか

問題なのは、「なぜ大学生が勉強しない状況が、20年以上も放置されたまま続いてきたのか」です。これがここ数年の新しい現象であるならば、問題の根っこはそれほど深くない可能性もあります。ですが、20年以上も続いているとなると、どうも構造的な問題が潜んでいる可能性が濃厚です。問題の根っこは、どこにあるのでしょうか?

日本の大学教育に問題があることは、これまでも多くの方が指摘してきました。それらは、誰を「悪者」にするかという点で、大きく3つのパターンがあります。

1つ目は、大学生自身を悪者にするパターン。「ゆとり世代でやる気がない」「大学進学率が高すぎて全体のレベルが落ちている」などが代表的なもので、メディアがよく言う批判です。

2つ目は、大学を悪者にするパターン。「大学の先生は社会に出たことがないから現実がわかっていない」「きちんと教える気がなく、ただレジュメを読み上げているだけ」などが代表的なもので、こちらは主に大学生が持っている不満でしょう。

3つ目が「就職活動」、ひいては企業を悪者にするパターン。「就職活動が、大学教育を邪魔している」「就職活動の早期化が学業を妨げている」などで、これは大学の先生が好む批判です。

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