円安なのに輸出量が激減する日本経済

時間が経っても輸出は自動的に回復しない

貿易統計(速報)によれば、2月の輸出価額は、対前年比で2.9%減少した。数量ベースでは、実に15.5%の大幅な減少だ。国内生産などに影響するのは、輸出数量である。それが大きく減少した。

輸出数量の対前年比は、2012年6月から継続してマイナスだ。価格指数の対前年比は、8月を除いてプラスであるにもかかわらず、13年1月を除いては数量指数のマイナス幅のほうが大きく、その結果、輸出価額の対前年比はマイナスになっている。2月における数量の対前年比マイナス幅は、6月以降で最大だ。中国の旧正月が2月になった影響があるとはいえ、もちろん原因はそれだけではない。

現在、株価が上昇しているのは、「円安になると日本の輸出が増加し、それが総需要を増やして国内の経済活動を押し上げる」との期待があるからだ。しかし、それは単なる期待にすぎず、実際にはそうした効果は発生していないのである。

一方、輸入を見ると、2月の数量指数の対前年比はマイナス0.1%である。したがって、外需面から総需要を減少させる効果が強く働いていることになる。

以上で見たのは、対前年比だ。では、対前期比の数量の変化はどうか? 貿易統計の原数値は季節変動の影響を受けているので、正確に見るには、GDP統計で見る必要がある。しかし、現時点では、12年10~12月期の数字までしか分からない(13年1~3月期の1次速報の発表は5月)。ただし、貿易統計の季節調整値でも見当はつく。仮に3月の季節調整輸出額が2月と同じだとすると、13年1~3月期は、12年10~12月期に比べて約7%の増だ。他方、円安で価格指数は16%程度上昇している。したがって、数量では9%程度減少している可能性が高い。

次ページこれは「Jカーブ効果」ではない
関連記事
Topic Board トピックボード
人気連載
Trend Library トレンドライブラリー
  • コメント
  • facebook
0/400

コメント投稿に関する規則(ガイドライン)を遵守し、内容に責任をもってご投稿ください。

Access Ranking
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • いいね!

※過去48時間以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※過去1ヵ月以内の記事が対象

※週間いいね数のランキングです。

トレンドウォッチ
あのころ銀行は<br>無茶苦茶だった

『住友銀行秘史』の著者で元・住銀取締役の國重惇史、元イトマン顧問弁護士の河合弘之、元長銀取締役の箭内昇。平成の金融バブルの最中に起きたイトマン事件の真相と教訓を語る。