韓国で人気の魚市場、「移転問題」で大モメ レトロな雰囲気が観光客から好評だったのに

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旧市場の魚商人。「共に戦おう」と書かれた赤いベストを着ている (写真: 2016 Jo Turner)

ソウルのどこで魚を買うかをめぐって、論争が巻き起こっている。その結論は、市内の最も象徴的な食品市場の運命を決するだろう。

漢江の南岸にある広大な鷺梁津(ノリャンジン)水産市場には1927年の開場以来、魚の売り手と買い手、そして好奇心が集まっている。ソウルの人気観光地の1つでもあるのだ。

韓国紙の朝鮮日報によれば、1日当たり1000人の中国人旅行者が訪れる。米フォックス・ニュースは世界第3位の食品市場にランク付けし、『コンデナスト・トラベラー』誌が刊行したソウルで最高の市場に関するフォトエッセイでは、20枚の写真のうち10枚が鷺梁津から選ばれた。

魚商人の大半は「移転せず戦う」

しかし現在、鷺梁津水産市場は閑散としている。最上階には「解体」という落書きがあり、メインフロアでは、魚商人たちが「共に戦おう」と書かれた赤のベストを着ている。横断幕が壁に吊るされ、市場全体に好戦的な雰囲気が立ち込めている。

2階から見下ろした旧市場の風景 (写真: 2016 Jo Turner)

親会社である水協は、魚商人たちが通りの向こう側にある新市場に移転するよう勧告した。新市場は旧市場よりも小さく、デパートのように完全に屋内化され、空調設備も備えている。しかし、魚商人のほとんどは移転を拒んでいるため、新市場はほとんど空っぽだ。

「水協が新市場を建てた後、われわれには何の通知も会合もなかった」と、鷺梁津で30年間魚を売ってきたという商人の1人は、匿名で語った。「2016年3月16日に移転通知を受け取り、新しい建物を見に行ったがわれわれの希望に合わなかったため、ここにとどまり、戦うことにした」。

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