みんな知らない、NISAより断然スゴい制度 とてつもない「税」と「手数料」のメリット

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もちろん、上限があるからとか、損をしても損益通算ができないから意味がないとか、期間限定だから良くないとか、不平や不満を言えばキリがありません。でも、少なくともそういう優遇された制度がある以上は、利用しない手はありません。事実、NISAの利用者は着実に増えているように思えます。ただ、用途を限って言えば、投資するにあたってNISAよりもはるかに有利な制度が存在しています。それが確定拠出年金です。

では、確定拠出年金とは一体どういう制度なのでしょうか? 元々この制度は、企業の退職給付制度のひとつとして2001年に始まった制度です。アメリカの老後資産形成制度のひとつである401kプランとよく似ていることから、始まった頃は「日本版401k」と言われていたこともあります。

「企業の退職給付制度」というのは、簡単に言えば「退職金」のことです。「でも退職金って、会社がくれるものだから当然もらう権利があるわけで、得もなにもないでしょう?」と思われる方がいるかもしれません。それはそのとおりです。ところが確定拠出年金には、企業の退職金制度のひとつとしてスタートした「企業型」だけではなく、個人が自分のおかねを積み立てる「個人型」というタイプもあるのです。ここでいう、“NISAよりもはるかにお得な制度”、それが「個人型確定拠出年金」です。

「税」と「手数料」のメリットがとにかく大きい

では、一体どういうところがお得なのかを見てみましょう。

まずは何と言っても税金です。NISAの場合は、税金がかからないと言っても運用の結果、出た利益に対してのみでした。すなわち運用益が非課税ということです。これは個人型確定拠出年金(以下、個人型DCと記す。DC=Defined Contributionの略称)も同様です。

ただ、個人型DCで大きいのは、所得控除です。税金というのは収入すべてにかかるわけではなく、サラリーマンで言えば給与所得控除を引いた「所得」、そしてさらにそこからさまざまな“所得控除”を引いたものが「課税所得」として税金の対象になります。

個人型DCの掛金は自分の掛けたおかねの全額が、所得控除の対象となるのです。これによって思いがけない金額が年末調整で戻ってくるということになります。運用益に対して税金がかからないということは確かに大きなメリットですが、それは儲かれば、の話です。ところが所得控除は損得には関係なく、自分の収入に対する税金が軽減されるということになるわけですから、これはとても有利な話と言えるでしょう。

また、NISAは期間限定で、5年以上は利用できませんし、制度自体の恒久化は望まれているものの、存続する期間も10年間に限定されています。これに対して個人型DCの場合は、60歳まで積立てが可能ですから、仮に30歳から始めたとして、30年間は利用できることになります。

さらに個人型DCのメリットは、利用できる金額です。NISAの場合は現在年間120万円で5年しか利用できませんから、毎年投資をしても最大限600万円しか運用益非課税になりません。ところが個人型DCの場合は60歳まで制度が利用できますから、人によっては20年、30年と利用することができます。

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