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「ファクト」「エビデンス」至上主義者の末路 「昨年の正解」が「来年の正解」とは限らない

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  • 嶋田 毅 グロービス経営大学院教員、グロービス出版局長
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もちろん、入試制度などが変わればその限りではありませんが、そうした目に見える原因がなければ、昨年までの「A大学、B大学、C大学出身者のパフォーマンスはよい」というエビデンスを今年も用いることに問題はなさそうです。

ただ、そうしたことが通用しないケースもあります。

「ファクト・エビデンス」を疑うことも大切

それがよく起きるのは、変化の速い環境下、例としてEビジネスのような世界においてです。こうしたビジネスでは、例えばSNS広告を出すにしても、昨年まではフェイスブック広告が最もCPA(顧客獲得コスト)が低く有効だったものが、今年に入ってインスタグラムのほうが効果的になるという事態はよく起きます。

ずっとSNS広告を出し続けていればこうした変化はすぐに気がつくものですが、たまにしかそうした広告をしない会社は「去年まではフェイスブック広告がいちばんよかったから、今年もそれでいこう」などと安易に考えてしまう可能性があるのです。

グーグルを意識したSEOなども、アルゴリズムが変わるとすぐに傾向が変わってしまい、なかなか普遍的なエビデンスが出にくい分野です。

現代は変化の速い、見通しの悪い時代です。その時代にあっては、「古いファクト・エビデンスは、ファクト・エビデンスとは言えない」くらいの慎重さが時には必要なのです。

②「ファクト」とされているデータ(統計資料など)が間違っていることがある

これは、調査やデータの信憑性を健全な批判精神を持って疑うことの重要性を示唆します。例えば多くの人は政府や官公庁発表の資料などは正しいものという前提で用いることが少なくありませんが、これが危ないのです(なお、そうした資料は往々にして古いものが多いので、①の観点からもしばしば妥当性を欠くことが少なくありません)。

それが脚光を浴びたのは、昨年の厚生労働省の勤労統計に代表される、数々のミスの発覚でしょう。公的なデータであっても、一個人の錯覚や不適切なプログラムなどによって数字が間違っていることが多いというのは少なからぬインパクトを与えました。

比較的几帳面とされている日本の官庁ですらこうですから、新興国のデータや、企業のデータなどはさらにミスが多かったり当てにならないものが多いものです。

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【数字には担当者の意図が入り込む】

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