ホンダ、爆売れジェットで狙う航空業界変革

「生みの親」藤野CEOがこだわった価値観とは

ホンダが5月に発表した「ホンダジェット エリート」。航続距離を現行機よりも約17%伸ばした(写真:ホンダ)
小型ビジネスジェット機の新星として2015年12月に登場したホンダの「ホンダジェット」。最高速度や燃費性能、静粛性などでライバル機を圧倒する。航空機としての性能はもとより、そのデザインの美しさにもパイロットや航空工学の専門家、バイヤーからも高い評価を集める。2017年には小型ジェット機のデリバリー(顧客への納入数)で首位に踊り出た。
ホンダジェットの「生みの親」とされるのが、米国子会社・ホンダエアクラフトカンパニーの藤野道格(みちまさ)CEOだ。入社3年目の1986年に始まった航空機の研究開発プロジェクトに参加して以来、一貫して航空機分野に取り組み、困難な道を切り開いてきた。左右の主翼の上という独創的なエンジン配置も藤野氏の発案だ。来日した藤野氏CEOに、航空機ビジネスについて余すところなく語ってもらった。

抵抗勢力があっても性能では負けない

――2015年に発売してからこれまでの総括をお願いします。

発売から2年半が経ち、ようやく生産が軌道に乗ってきた。手作業が多いので、人が慣れてくると作業がどんどん早くなってくる。商品としての評判も予想よりよい。操縦する人が「明らかに違う」と言ってくれているのは、アビオニクス(航空機内電子制御機器)など、性能の部分だろう。操縦しない人も「ものすごく静かで、乗り心地がいい」と驚いてくれる。

――業界での反響も非常に大きいです。ライバル会社からはどう見られていますか。

藤野道格(ふじの みちまさ)/1960年生まれ。東京大学工学部航空学科卒業。1984年本田技研工業入社。ホンダの米開発子会社の副社長などを経て、2006年からホンダエアクラフトカンパニー社長兼CEO。現在、本田技研工業常務執行役員を兼務(撮影:今井康一)

ジェット業界からは、最初は「自動車屋に何ができる」と無視された。少し評判が上がると「アメリカでは通用しないよ」、航空機の製造認定が近づくと「認定取れるわけないよ」と、いざ取れそうになると「絶対取れるわけない」といってホンダのお客さんの不安をあおる。認定を取ったあとも、「認定は取ったが安心できない」と・・・・・・。今はとにかく、批判を1つずつ潰していくしかない。どんな世界でもそうだが、いちばんになると抵抗勢力がなんとか阻止しようとしてくる。

ホンダジェットの登場後、ライバル製品にも変化が出てきている。とはいえ、性能ではホンダジェットに勝てない。向こうもわかっているので最近は、インテリアや塗装を近づけたり、アビオニクスのサプライヤーをまねしたり、ウェブサイトまで似せてきたりしている。

改良機「ホンダジェット エリート」のコックピット。最新の航空電子機器を搭載している(写真:ホンダ)

まずは小型ジェット機におけるシェアを確実なものにしたい。ニューヨーク―マイアミなど、世界でビジネスジェットの就航数が多いルートトップ10のうち、5ルートはカバーできており、残りの5ルートをどう取るか。また、小型ジェット機セグメントでは、シェアの40%程度を占めるが、これを(改良機の)「ホンダジェット エリート」でどこまで上げられるかに挑戦する。

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