今回の会見で利用者が求めていたのは、情報流出や資産被害に会社がどう対応するのかという具体的な説明だ。熊谷氏は会見の第1部冒頭で謝罪し、同席したGMOインターネット社長の伊藤正氏らも、被害への対応や補償方針を説明している。
ところが第2部では、AIの進歩とサイバー犯罪の脅威、犯罪者に金銭を支払わない姿勢など、今回の事案のみならず、一般的なサイバーセキュリティの話へと広がり、GMOの“被害者”としての側面を印象づけた。
攻撃を受けた企業という意味で、GMOも被害者ではある。しかし、顧客に被害が生じた企業のトップが、犯罪者と戦う自分たちの側の話に力を込めると、「利用者に誠意を持って説明したい」よりも、「自分たちの苦境を理解してほしい」という訴えが強く見える。その結果、他責的な印象につながったのではないか。
笑顔の自撮り、「爆笑」から一転した涙
発覚当初の“強気な姿勢”とのギャップも「泣き落としではないか」という評価につながった。例を挙げれば、熊谷氏はXで、インターポール(国際刑事警察機構)に相談済みだと投稿。機構の旗やロゴを背景にした笑顔の自撮り写真を添えたことから批判を浴びた。10月28日には、東京大学での講義を予定どおり行ったとして、笑顔の写真も投稿していた。
個人情報の拡散を非難する投稿でも、「幼稚園、小学生のお子さん」と、被害者の家族に言及。陸上部への影響を心配する投稿には、「爆笑」「陸上部には何の影響も無し」と返した。こうしたSNS投稿から“軽さ”が浮き彫りとなり、顧客への誠意を疑わせていたのだ。
会見では、笑顔の写真や陸上部に関する投稿について、熊谷氏自身が謝罪した。しかしながら、先に触れた感情的な言動から、期待されていた“誠実な対応”ではなかったと判断した視聴者は多いはずだ。
また、熊谷氏の言動を見て、「ここまで思い詰めた状態で、人前に立ち続けて大丈夫なのか」と、心配になった人も多いようだ。実際Xでは、過去に行われた“感情を吐露する会見”と比較しつつ、冷笑の声とともに、熊谷氏を気づかう投稿も見られた。


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