今、アメリカ政府(ホワイトハウスやサイバーセキュリティ庁など)が国家戦略として強く打ち出しているのが、構造的にデータ破壊や混同が起きない新しい安全基準の土台「Rust=ラスト」などに代表される次世代言語へ、地下の配管ごと計画的に建て替えていくというアプローチだ。
これは、かつて大地震を機に建築基準法が改正され、「新耐震基準」や「免震構造」のビルへと建て替えが進んだ歴史とまったく同じである。どれほど内装をリフォームしても、建物の基礎が旧耐震のままでは大地震には耐えられない。
日本国内でも世界の潮流を受け、行政や重要インフラ企業がいかにして古い土台への依存から脱却し、サプライチェーン全体の安全性を高めるかをまとめた『Rust 政策提言2026』などが議論され始めている。
経営層が今、自社のIT部門に問いかけるべきこと
今日明日ですべてのシステムを一気に建て替えることはできない。しかし、ITに詳しくない経営層や意思決定層であっても、今日から変えられることがある。
第1に、「現場の緊急アップデート対応は、エンジニアの怠慢ではなく、世界のIT基盤がAIによって監査されるという構造変化によって起きている」という事実を理解し、セキュリティ維持のための予算と人員を「コスト」ではなく「事業継続のための必須投資」として確保することだ。
第2に、これから新たにAIシステムや基幹システムを発注・導入する際には、「見た目の機能」や「はやりのAIを使っているか」だけでなく、「そのシステムを支える裏側の部品(サプライチェーン)まで含めて、将来にわたって安全な構造になっているか」をベンダーやIT部門に問いかけることである。
AIがすべてのシステムの「見えないひび割れ」を瞬時に見抜く時代は、すでに始まっている。場当たり的な穴塞ぎで現場を疲弊させ続けるのか、それとも数年先を見据えて「揺れに強い土台」への転換に舵を切るのか。問われているのは、技術者の腕ではなく、経営者の視座そのものだ。


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