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ライフ #神童だったあの子の今

「中3で数学オリンピック入賞」「東大現役合格」苦労知らずの彼が「努力すれば何とかなる」考えを変えて官僚になったワケ

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官僚として働くIさん。幼少期には「苦労を知らないままだと将来困る」と言われていた
官僚として働くIさん。幼少期には「苦労を知らない」と言われ続けた(写真:本人提供)
  • 新倉 和花 東京大学法学部卒・麻雀プロ
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「は?日本の将来?本気で言ってるの?って思いました。そんなことが自分に課せられているなんて、考えもしなかったんです。東大の学生だからって、ちょっと背負いすぎじゃない?どちらかといえば、お金を稼ぎたい人ばっかり来てるものだと思っていたので」

Iさんがその違和感を伝えると、友人はこう答えた。

「ノブレス・オブリージュってやつだよ」

ノブレス・オブリージュは、もともと貴族にはその身分にふさわしい振る舞いが求められる、という意味のフランス語だ。今では広く、社会的に恵まれた立場にいる人は、その立場を生かして社会に尽くす責任も負う、という考え方を指す。友人は、東大で学ぶ機会を得た自分たちも、その責任を負う側だと考えていた。友人の言う「我々」には、話を聞いているIさんも入っていたのだ。

「そういう言葉があるのは知っていたんですけど、僕にも当てはまるのか、そんなことは考えたこともなかった、と思ったんですよね」

教育支援の場で感じた“当たり前”の違い

その頃、当時の交際相手とのつながりもあり、ゼミやサークルを通じた教育支援の活動に参加する機会があった。Iさん自身の経験では、大学にはそうした活動に触れる場がいくつもあったという。

その一つで、地方の学校を訪れた。学力面で課題を抱える生徒もいて、大学進学が全員の進路になっているわけではない学校だった。そこでIさんは、戸惑った。勉強を教えようとしても、思うようには始まらない。ノートを開いて話を聞いてくれるとは限らなかった。

「東大生が勉強を教えに来ているんだから、もっとノートを開いて、こっちに意識を向けてくれてもいいのに、と思ったんです」

だが、一緒に来ていた友人は、驚いた様子もなく生徒たちと会話をしていた。まず勉強する態度を取るよう求めるのではなく、その場で話をしている。

「友達は、当たり前みたいな顔で生徒と話していたんですよ。それを見て、あ、この場所では、こういう反応のほうが普通なのか、と思いました」

自分が当たり前だと思っていた反応が、この教室でも当然に返ってくるわけではなかった。

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