STARTO社は、性加害問題を受けて従来の業務から撤退したジャニーズ事務所(現SMILE-UP.)に代わり、タレントのマネジメント業務を引き受けた新会社だ。今回は傷害容疑で性質は異なるが、ファンビジネスのリーディングカンパニーとして「生まれ変わった会社」であることを示すには、経営層の言葉が必要だったと久保氏は考える。
「経営陣に求められるのは、会見で頭を下げることだけではありません。オーディションなど採用プロセスの見直し、タレントやマネージャーへの業務標準やルールの浸透度、倫理教育などの課題を可視化し、それを個人の問題から『仕組みの問題』へと変換して改善策を示すこと。それができて広範囲のステークホルダーからの納得感が得られ、ファンビジネスとしても強固なものになります」(久保氏)
会見によると、タレントへのコンプライアンス教育や倫理教育は会社として行っていたようだ。それでも、私生活まで管理・監督することはおそらく難しいのだろう。これは、広く社会全体に言えることでもある。
罰ゲームから抜け出す“出口”はあるか
久保氏によると5年ほど前から、人事面で先進的な企業の一部は「マネージャーはマネジメントのプロ」「プレイヤーは現場専門職のプロ」として両者を明確に切り離し、次世代経営者の早期育成、高レベルな専門人材の育成の両輪を強化する制度へと舵を切り始めたという。
プレイヤーとマネージャーを兼ねていると、結局プレイヤーの仕事に集中せざるをえない課長が多い。この中から部長が選ばれたとしても、マネジメントができるレベルには達していない。これでは次世代の経営者の育成ができない。管理職を降りて専門職としての道を選べる仕組みが整えば、プレイングマネージャーが“罰ゲーム”から抜け出す道になりうる。
今回の一連の騒動には、プレイングマネージャーが抱える問題が映り込む。だからこそ、菊池のあの姿を、自らの職場や組織の課題として改めて問い直す必要があるのではないだろうか。


※ログイン後、コメント入力が可能です。