今年1月と今回、年に2回もの重大事故が発生したマドリード―セビリア間のみならず、スペイン国内の高速新線は老朽化や整備不良が問題となっている。スペイン政府は、マドリード―バルセロナ間を数年間にわたって閉鎖し、再構築する意向を示している。
ただ、日本の新幹線と同様に在来線と高速新線で軌間(線路の幅)が異なるスペインは、高速列車を在来線へ迂回させることができないため、完全に運行を停止すればスペイン国内は大混乱となる恐れがある。単線での片側交互通行など、何らかの方法で運行を維持する必要が出てくるかもしれない。
1年に2度も大事故の異常事態
安全が最重要である高速鉄道で、1年のうちに2度も数十人が犠牲になる死亡事故が発生したことは明らかに異常事態だ。renfeは、今回のようなLZBのシステムダウン時などのマニュアルを見直しており、今回のような規則の抜け道を塞ぐ対策を行っているが、それだけではもはや付け焼刃といった印象が拭えない。
中国に次ぐ世界第2位の高速鉄道網を保有するスペインは、現在も新規路線の建設などへ投資を集中しており、保守や老朽化した設備の更新などが後手に回っている点は、1月に発生した事故の後も批判を受けていた。線路の点検やメンテナンスで不正が行われていた疑いも指摘されている(2026年6月20日付記事『スペイン高速列車「脱線衝突事故」調査で深まる闇』)。
一見すると非現実的にも見える、スペイン政府の打ち出した全面運休を伴う抜本的な対策工事も、ここまでの大事故が続けて発生してしまった中では必要なことと言えるのではないだろうか。

