当初は大久保の診療所に林さんを転院させるという話だったが、主治医が紹介状を書かなかったため、叶わなかった。そこで大久保と山本が京都に出向くという流れになる。
やり取りの最後のほうでは、林さんはまぶたの動きもかなり難しくなっていた。「TLSで何もできなくなる前に死にたい。」と大久保に送ったように、タイムリミットを感じていたことは、想像に難くない。
「林さんは、大久保を逃したくないという気持ちがあったのでしょう。『いかに終末期において、患者の意思が尊重されない医療が行われるか』と発信していた大久保に対し、いざ林さんみたいな人が現れたときに、『じゃ、あなたは逃げるんですか』と。そんな駆け引きが見てとれました。主治医に関する愚痴も、大久保がどう反応するかを見ていたのかもしれません」
「自分だったら」「家族だったら」どう受け止めたらいいのか
2024年、京都地裁で大久保に対する初公判が行われ、「被告の行為に社会的相当性は認められない」として殺人、嘱託殺人などで懲役18年の判決がくだった。その後、大久保は一審判決を不服として大阪高裁に控訴するも、高裁は棄却。最高裁でも棄却され、2025年に懲役18年の刑が確定した。
「林さんの死の選び方は特殊だったけれども、死は誰もが迎えるもので、そのときに同じような選択を迫られることがあるかもしれない。そのときに自分は、家族はどう受け止めたらいいのか。映画がそれを考えてもらうきっかけになればと思います」
2026年10月31日、ユーロスペース(東京)、京都シネマ(京都)、第七藝術劇場(大阪)ほか全国順次公開。
監督:二村真弘
プロデューサー:石川朋子
声の出演:田畑智子
配給:東風
製作:『京都ALS患者嘱託殺人事件』製作委員会
https://digtvmovie.jp/


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