「見て見て、これ買ってきたの」。Mがバッグから取り出したものは、放射線の量を測るガイガーカウンターでした。
「まさか、わざわざ買ったの?」と驚いて私が尋ねると、「もちろん。だって、知りたいでしょ」。
Mは「知りたいと思うと、我慢できない質なのよ」と続けました。そういえば、Mはそういう人です。「ネットですごく安いのとすごく高いのがあって、中間のを選んだよ」。
2万円くらいしたらしく、私とミカンは「Mらしいねえ」と感心しました。Mは「自宅でも測ったけど、この部屋ですでにうちよりも4倍以上高いよ。お風呂はもっと高いんだろうね」と言っていました。
どのくらいの数値になるのか、私も興味があります。夕食前にひと風呂浴びようということになり、ガイガーカウンターを濡れないようビニールパウチに包んで、私たち3人は旅館内地下にある内風呂に向かいました。
ラジウム濃度が異なる湯船3つ
内風呂は男女入れ替え制で「長寿の湯」と「不老の湯」があり、その日のその時間の女湯は「長寿の湯」でした。
湯船は3つあり、温度とラジウムの濃度がそれぞれ違います。メインの「ぬるい源泉」のほか、「冷たくてさらにラジウムが濃い源泉」「温かいお湯」があり、初心者は湯あたりする可能性があるので、源泉は控えめにということでした。
浴室には湯治客と思われる高齢女性が数名、源泉に浸かっていました。私たちは洗い場で体を洗ったあと、メインの湯に入りました。
「わ、みるみる数値が上がっていくよ」
Mがそっと、手持ちのガイガーカウンターを見せてくれました。数値は目まぐるしく変化していきますが、あっという間に部屋で見たよりもさらに高い数値を示しました。
「それだけ効果があるってことやな」。ミカンが満足げに言いました。確かに、数字を見るとここは間違いなくラジウム温泉なのだなあと実感させられます。ガイガーカウンターを、購入してまで持ってきてくれたMに感謝です。


※ログイン後、コメント入力が可能です。